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特集ー人生が花開く(1)

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北海道妹背牛町

心地よい春風がそよぐ2023年4月。花き生産者を夢見る研修生の受け入れに積極的な田村農園に足を運ぶと、ビニールハウスの中で熱心に栽培技術を学ぶ若い男女の姿がありました。
2人はこの春、東京農業大学生物産業学部(網走市)を卒業したばかりの戸部颯斗さんと町田陽(ひろ)さん。ともに関東圏出身の2人は大学で知り合い、故郷を離れ、広大な北海道の地で自然と触れ合う農業で生計を立てる暮らしに憧れを抱きます。
妹背牛は、主力品種「スターチス」の生産量が道内でも最大規模を誇る「北育ち元気村花き生産組合」の構成団体の一つ。人口減少、農業の担い手不足に悩む町に移住し、地域住民の期待を受けながら研修に励む2人の成長ぶりを追いました。

■どうして妹背牛町に来たんですか?
千葉県流山市出身の戸部さんは、大学のフィールドワークで道東の知床や釧路湿原を訪れ、北海道の雄大な自然に魅了されました。花への関心も高く、卒業論文のテーマに据えるほど。自然と触れ合える農業に魅力を感じ、北海道農業担い手育成センターを通じて、妹背牛町の田村農園で研修を続けています。
一方、神奈川県川崎市で育った町田さんは、中学生のころから農業に関心があり、農業を学ぶなら一次産業が盛んな北海道という思いがありました。大学在学中に見る人に癒しを与える花の栽培にも興味を持ち、少ない面積で収益を上げる施設園芸を学んでいます。
2人に妹背牛町で花きの新規就農者を育てる話が舞い込んだ時、すでに町内で研修、就農する環境が整っていました。2人は実際に農業研修に関わる人たちとの対話を重ね、人柄の良さや花き産地としての責任、そして熱意を肌で感じました。
花き産地を守る生産者の熱い思いに感銘を受け、2人は大学を卒業後に妹背牛町への移住を決意。研修後の独立を目指し、故郷から離れた北の大地で新たな人生を歩み始めました。

■田村農園で学ぶ
1989年(平成元年)から花きの研修生を受け入れている有限会社「田村農園」は「北海道の農業を守ろう」を企業理念に、これまでに短期・長期間で200人超の研修生を排出。花き生産者を志す人たちの独立をあっ旋し、町内の移住・定住に貢献しています。
北空知管内の花き農家と比べても経営規模が大きく、栽培面積は約330平方メートル。ビニールハウス62棟で主にスターチスの一種、HBSシネンシスを栽培しています。ピンクや黄色の小さな花が多く咲き、花束に欠かせない名脇役として、関東・関西圏の市場に対する需要が高まっています。
2年間という短い研修期間の中で、代表取締役の田村昌之さんは、大規模経営に裏打ちされた栽培技術と安定的な経営方法を研修生に細かく教えています。家族ぐるみで指導に当たるほか、現地講習会への参加を通じて近隣農家と顔合わせをする機会も設けます。ふだんの仕事から離れると、福利厚生の一環で慰安旅行やバーベキューを楽しむなど、研修生とアットホームな関係性を築くことを大切にしています。

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