文字サイズ
自治体の皆さまへ

特集ー人生が花開く(4)

4/23

北海道妹背牛町

冬の訪れを告げる雪虫が飛び交う11月上旬、シーズンを通して初めての花き栽培を経験した2人は、花が切り取られた後の株が残るビニールハウスにいました。早朝から、土で汚れたジャンパーを着て、白い息を吐きながら、花を育てる役目を終えたビニールハウスのシートをはがしていく2人。その表情からは春に見たあどけなさは消え、取材に応じる言葉一つひとつに力がこもっていました。

■花き研修の主なサイクル

花き栽培の研修は、花の定植作業から始まります。慣らした土に雑草の発生を抑えるシートを敷き、花を支える支柱を立て、穴の開いたマルチに花苗を植えていきます。
定植から90日後に採花時期を迎え、6月からお盆シーズンの8月までが出荷のピーク。ビニールハウスで切り取られた八分咲きのシネンシスが選果場に次々と運び込まれていきます。
選花を担当した戸部さんと町田さんの2人は、花の見栄えが良いものを選んで10本1束に結束し、サイズごとに箱に詰めていきます。
「花は待ってくれない」「せっかく育てた花も、切るのが追いつかないこともある」
多い日で1日に200箱もの花を出荷する慌ただしい状況で、2人は田村さんの経験談に耳を傾けながら、スピードと正確さ、そして体力勝負の仕事を実践的に学んでいきます。
戸部さんは「失敗したら減収になるような大切な仕事も経験させてくれます。経営規模が大きいから、同じ品種の栽培を繰り返し覚えることもできます」と、研修への手ごたえを感じています。
夏の休日には田村さん宅でバーベキューを楽しんだ2人。家族から「スターチスに限っては、1年間の研修で6年分の学びになり、スターチスのプロを目指せるよ」と、激励の言葉を受けました。
町田さんは「体力的に大変な作業もあるけれど、自分たちでやりたいと選んだ職業。田村さんが育てたお花を『この子』と呼ぶように、子育てのように大切に栽培したお花が出来上がった時に、この仕事のやりがいを感じました」と、実感しています。
田村農園での研修は近隣農家への視察・交流も欠かせません。他品種の栽培方法も学んでいる2人は「田村農園で学んだ経験をベースに自分たちの経営に合ったお花の栽培に挑戦することも楽しみです」と、夢が膨らみます。
これからの冬期間は、来春に出荷する花の管理や農業経営の知識を深める時間に充てます。
自分たちの作業風景をスマートフォンで撮影し、動画を見返している2人は「来年がラストシーズン。栽培技術を自分のものにできるように頑張りたいです」と、前を向きます。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU