■お袋の味が懐かしい
地域おこし協力隊 ズオン・ティ・フオン
子どものころ、私は早く成長して、自分のやりたいことをして、自由な生活を送りたいといつも思っていました。
大人になってからいろいろな所に行って、様々な料理を食べて気づいたことがあります。一番美味しいのはお母さんの手料理です。日本人の皆さんにとってお袋の味と言えばどんな料理を思い浮かべますか?お味噌汁、煮物、それともカレーですか?世界中の人たちも、自分のために作ってくれたお母さんの料理が一番美味しいと感じるのではないでしょうか。
私も同じです。ベトナムの北部に生まれ育った私は寒い日に食べる、家庭料理のカボチャスープがとても懐かしいです。貧しい家だったので、子どものころはコンロや炊飯器がありませんでした。
お母さんはいつも汗まみれになって、かまどでご飯を炊いてくれました。すごく大変だったと思うけれど、お母さんは私にこう言いました。
「あなたたちが美味しく食べて健康でいてくれるのなら私はどんなに大変でも大丈夫」
お母さんから言われた言葉は私の心に残っています。いまは家にコンロがありますが、お母さんはまだあのかまどを使っています。親と離れて、日本で一人暮らしをしてから、時々お母さんのカボチャスープを作ります。
お母さんに教えてもらったレシピの通りに調理しても、何か足りないような気がしました。それは、幼いころにお母さんが心を込めて作ってくれた素朴な味わいが私の記憶に残っているからでした。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>