■花粉-食物アレルギー症候群を知っていますか
・富良野医師会 大久保 仁史さん
こんにちは、富良野協会病院小児科の大久保です。みなさんは花粉-食物アレルギー症候群(以下PFAS)という疾患をご存じでしょうか?主にハンノキ、シラカバ花粉症に罹患後、リンゴやナシなどのバラ科の食物を食べると“口がイガイガする”、“喉がかゆくなる”といった口腔症状を認めるアレルギー疾患です。ただし生の食物は駄目でも、加工したら症状なく食べられる方がほとんどです。しかし中には大豆製品を食べてアナフィラキシーを起こす方もいます。すべてが軽症とは限りません。PFASは全国調査では小学生の0.09%、中学生の2.75%に認めています。先日富良野市の教育委員会の方々のご協力の元、市内の小中学校を対象にPFASのアンケート調査を行いました。その結果回収率は60%でしたが、そのうちの46%に花粉症の疑いがもたれ、22%にPFASの疑いがあることがわかりました。北海道ではシラカバが多く繁殖しているためと考えられますが、これは全国平均をはるかに超える値です。富良野では4人に1人のお子さんがPFASを発症している可能性があります。多くの方が加工品なら食べられる事を知っていたのですが、知らない方が30%ほどいました。また大半が口腔症状で済んでいたのですが、中にはアナフィラキーや嘔吐、喘鳴などの全身症状を認めた方がいました。この中に自然に治ったため病院を受診されていない方がいました。しかしこのような症状は単なるPFASとは異なり、きちんと調べないと他にも全身症状を起こす食物があるかもしれません。問題なく過ごされている方が大半だと思いますが、PFASのことを知らないために食生活を制限したり、知らずにリスクのある食物を食べてしまう危険性があります。果物や野菜を食べて口や喉の症状を認める方は、ぜひとも病院を受診して検査を受けて下さい。
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