■謹賀新年
新しい年を迎えるにあたり、市民の皆様に謹んで年賀のご祝辞を申し上げます
令和6年の富良野市は、基幹産業である農業では、春先からの天候が比較的安定していたことや、適度な降雨にも恵まれたことなどにより、全体的に良好な作柄となりました。市内の米は、平年の収量を上回り、品質も良好だったほか、畑作でも形の良いものが多く収穫され、ラベンダーなどの花卉も例年どおり美しい花を咲かせました。観光面では、インバウンドの入込みが好調な伸びを示すなど、コロナ過前を凌ぐ状況も見られ、市内経済にも好影響をもたらしました。長引くウクライナ情勢など国際社会の分断や、石油価格をはじめとした物価の上昇など、先行き不安が拭えない状況もございますが、富良野市内の農業や経済については、全体として上向きとなっております。
そうした中で、大きな課題となっているのが働き手不足であります。令和6年度は、4つの重点施策のひとつに「人材確保とDXの推進」を掲げ、民間事業者などと意見交換を行い、企業の人材確保や業務の効率化・省力化を支援するなどして、働き手の確保と定着を図ってまいりました。また、まちの生産力や魅力の向上には、市民一人ひとりが健幸であることも大切であります。安全で安心して暮らすことができ、子どもから高齢者まで、誰もが幸せを実感できるまちであり続けるためにも、ふらの健幸ポイント事業の推進や、健幸的な生活に自然と誘導されるような環境づくりにも取り組んでまいります。
そのほか、昨年の富良野市としての取り組みを振り返りますと、富良野市第6次総合計画の中期計画2年目として、「『美しい』のその先へWA!がまち、ふらの」をスローガンに、幸福度調査結果の活用に向けた分析と研究や、共創の推進に向けた取り組みを進めてまいりました。
シティープロモーションの取り組みにつきましては、戦略的広報展開事業により発行したフリーペーパー「JP01」を活用し、本市の歴史や産業、自然、観光を紹介するなど、本市の魅力を広く発信するとともに、プレスリリースも活用した情報発信によるシビックプライド醸成の取り組みを進めております。
公共交通確保の取り組みでは、令和6年2月5日より、AIオンデマンド交通ふらのりの有償での実証運行を開始し、ご好評を得ているほか、廃線となった富良野~新得間の鉄路に代わる代替バスの運行を4月から開始しました。また、鉄路の廃止確定後に、JAふらのとの連名で、バスの安全運行及び農繁期や観光時期の事故防止のため北海道警察などに強く要望しておりました、国道38号、麓郷入り口交差点への信号機の設置が、令和6年9月に実現されました。
脱炭素の取り組みでは、2050年ゼロカーボンシティに向け、温室効果ガス排出状況等の整理を行い、市民アンケートを実施、温室効果ガス削減に向けた具体的な取り組みについて検討してまいりましたが、今後も脱炭素化に向けた意識の醸成を図ってまいります。
利便性の改善については、令和6年度より、市税等の納入をコンビニで行えるよう、納付機会の拡充を図ったほか、マイナンバーカードを活用した戸籍証明書のコンビニ交付を開始し、利便性の向上を図ってまいりました。
市民福祉については、喫緊の課題である介護人材の確保・定着に向け、介護分野への就業希望者の掘り起こし及び就業支援を実施するとともに、資格取得に係る費用助成の対象を拡大しております。
観光面では、令和6年度上期の外国人宿泊延数が8万6千泊と、コロナ前の令和元年と比較して118・9%という大きな伸びを示した中で、9月には、新たな屋外イベントとして、音楽、グルメ、アウトドアなどの複合コンテンツを楽しむことができる「bonchi fes.FURANO」が開催され、大きな盛り上がりを見せました。また、パウダースノーの雪質を「ふわサラ度」として数値化する取り組みが高く評価され、第14回気象文化大賞を受賞したことも、喜ばしい出来事でありました。
第4次富良野市農業及び農村基本計画の象徴的な取り組みであるスマート農業促進支援事業補助金では、令和6年度において前年比倍増の59件の事業を補助し、人手不足対策の一環として作業の省力化に大きな期待を寄せているところであります。
本市の代表的な特産品のひとつであるふらのワインについては、初めて、台湾への輸出を開始し、現地百貨店での試飲販売や、台南市で実施した台湾メディアに対するプロモーション活動、台北市ではふらのワイン試飲会を開催するなどして、台湾への販売促進活動を実施してまいりました。
旭川十勝道路については、現在、富良野北道路の工事が進められておりますが、命のみちとして、一刻も早い完成に向け、計画段階評価の推進や必要な予算の確保について、関係省庁や道内選出国会議員などに強く要望してきたところであります。
子育てでは、令和6年4月に、こども家庭センターを開設し、0~18歳まで切れ目のない子育て支援を行うための拠点の整備が実現致しました。
2025年は乙巳年にあたり、植物の成長にたとえると、「種子の殻を突き破り、芽を出す状態」を意味し、「生命力」「再生」「復活」「長寿」を象徴する年とのことであります。
今年も「すべての市民が健康で生きがいを感じ、安全で安心して暮らし、幸せが実感できるまちづくり」を市政に臨む基本姿勢として、市民との対話を重視し、市民と行政がともに考え、ともに行動するまちづくりを、スピード感をもって進めることで、行政課題の着実な解決を推し進めてまいりますので、多くの方にとって希望と活気に満ち溢れる年となりますことを心よりご祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
・富良野市長 北 猛俊
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