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ササの花の開花について

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北海道小平町

田植作業中の農家の方から、「ササの花が咲いている」との情報がありました。ササの開花は60年に1度などと言われていますが、明確には調べられておらずわからないことも多いようです。確かに私も車で見渡してみると萌平トンネルのあたりから小平町寧楽にかけて所々で開花しているササを見かけました。

ある学芸員におたずねしてみましたところ、「ササ類の開花自体は珍しいことではなく、毎年このくらいの時期にあちこちで見られます。一方、ササはある程度の範囲の個体が同調して開花する性質があります。その規模はいろいろで、小規模なものは特に目立ちませんが、時に大面積が一斉に開花することがあり、メディア等で話題になることがあります。ササは開花後に枯死するため、大きな面積になると多くの人の目を引きます。凶作などの前触れなどと語られることもありますが、科学的な根拠は薄いのではないかと思います。」とコメントを寄せていただきました。

では、北海道の先住民、アイヌの人々はササの開花をどのように受け止めたのでしょうか。更科源蔵・更科光『コタン生物記1.樹木・雑草篇』(1976年,法政大学出版会)によると、「日本の俗説ではササの実がなる年は凶作であると言われているが、コタンの人々は山の神であるカムイ・ウナルペ(神の叔母様)がさずけてくれたものとして、ササの実をカムイ・アマム(神の穀物)と呼び、これを採集したあとは感謝の酒や木幣をあげた。阿寒地方ではアイヌ・アマム(人間の穀物)とも呼んだ。」と言うことで、ササの実という貴重な穀物を与えてくれるイベントとして受け止められているようです。

根拠はないものの、時に凶作の前触れとして語られ、アイヌの人たちは山の神であるカムイ・ウナルペ(神の叔母様)からの授かり物とみるササの開花。自然を相手にする農家の皆さんには記憶に残る出来事になるかも知れません。
(小平町教育委員会 長澤)

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