市は、皆さんの〝好き〟を仕事にできる創業を支援するため、創業塾などさまざまな支援を行っています。
今月は、創業塾の講師太田明子さんと、創業塾を受講し実際に創業した方に、創業のきっかけや創業して感じたことなどの話を聞きました。
■創業塾講師
太田 明子さん(太田明子ビジネス工房代表)
大阪生まれ。総合商社での財務部勤務を経て、平成5年に北海道へ移住。その後、北海道への移住を応援するNPO法人やベンチャー支援を行う民間団体〝札幌BizCafé〟の事務局長などを歴任し、平成14年6月に創業。
平成15年から岩見沢市を含む全道13カ所で、北海道初となる女性起業家塾を開催。平成28年から現在まで、岩見沢市で創業塾の講師を務め、令和5年度までに356人の卒業生を輩出。その内76人が市内で創業。
■つらら音楽工房
創業:平成30年9月
所在地:日の出町568-2
カフェスペース営業時間:土・日曜日 午前11時~午後10時
【電話】35-5303
事業内容:ウクレレ製作・販売、楽器のレッスン、カフェ、音楽制作
北海道からウクレレの魅力を全国に発信!
地域から愛される工房
長谷川 伸(しん)さん(創業塾2期生)
▼中学生の時に購入したウクレレがきっかけに
・創業前はどんな仕事を?
創業前は、家具の設計とデザインの仕事をしていました。
・ウクレレ製作で創業した理由は?
中学生の時に初めてウクレレを買いましたが、民芸品のような扱いで音程が合っていませんでした。その後、値段の高いものを買っても同じようなものばかりで「それなら自分で作ろう」と思い創業を決意しました。
しかし、ウクレレだけで収入を得られる見込みはなかったため、ローカルCMやお店のBGMなどの音楽制作もすることで自立できると考えました。
・岩見沢で創業した理由は?
岩見沢出身であることに加え、助けてくれたり、手伝ってくれたりする家族や知人が居たため、岩見沢を選びました。また、ウクレレを作る際に大きな音が出る機械を使うため、住宅街から離れる必要もありました。
・つらら音楽工房の名前の由来は?
北海道からウクレレの魅力を発信するという思いを込めて、北海道らしい〝つらら〟を用いて〝つらら音楽工房〟と名付けました。
▼理由を探して参加した創業塾
・創業塾を受講したきっかけは?
創業塾は、背中を押してくれる気がして受講しました。また、受講後に利用できる補助金も魅力的でした。
補助金の申請には、創業計画書などたくさんの書類の作成が必要ですが、市や商工会議所の協力もあり、スムーズに申請できました。
・創業するには補助金だけでは足りなかったと思いますが
補助金で賄えない費用は、貯金と少しの借入を行い対応しました。お金を掛けないよう、テーブルや椅子などは、材料を買って自作したり、自宅から持ってきたりしました。
▼コロナ禍を乗り切ったキーワードは〝オンライン〟
・コロナ禍をどのように乗り切りましたか?
当時はお客さんが来ることがなく、元々行っていた楽器のレッスンも集まることができなかったため、オンラインで受講できるようにしました。結果として、ウクレレや編曲した楽譜を購入された全国の方から、レッスンを受けたいという連絡があり、乗り切ることができました。
▼地域に愛される憩いの場に
・創業塾ではお店のターゲットの話をしましたが、客層は思った通りでしょうか?
ウクレレ販売に関しては思った通りです。工房にはカフェも併設していますが、ありがたいことに町内会の会合でカフェスペースを利用してくれたり、音楽とは関係無いお客さんが来てくれたりもしています。
・創業して気持ちの変化はありましたか?
創業後は、ウクレレ製作に加え、楽器のレッスンや問い合わせ対応もすべて1人でしなければならず、やることは多くなりました。でも「創業しなければよかった」と思うことは、ほとんどありません。どの道を選んでも大変だとしたら、やりたいことをやって大変な方が良いと思っています。
▼ウクレレは民芸品ではない
・ウクレレの魅力を教えてください
ウクレレのルーツはポルトガルのブラギーニャという楽器で、19世紀にハワイに渡り〝ウクレレ〟という名前になったとされています。歴史のある弦楽器としてたくさんの人に知ってもらいたいです。
ウクレレは製作に時間がかかるので、1年以内に納品できる依頼しか受けていませんが、ウクレレの楽器としての魅力は、積極的に発信していきたいです。
▼デザイナーではなく作家に
・10年後はどのようになっていたいですか?
今はオーダーを受けて相手の要望に沿って作るデザイナーの部分もありますが、10年後には、自分の作りたいと思うものだけを作る作家になりたいです。
またカフェスペースで、楽器をやっていた人などが集まって合奏をすることがありますが、それがとても楽しく、そんな機会も増やしていきたいと思っています。
▼うまくいかなくても3年は
・創業塾を受講する方にアドバイスをお願いします
現状を変えたくて創業を考えている人は、最初は思い通りにいかないことが多いですが、思い切って創業した方が良いと思います。
業種にもよりますが、1年目で判断せずに、3年ほどかけて判断した方が良いと思います。1年目はあくまで準備段階、2年目で知識と経験を得た上で3年目もだめなら、やり方を間違えているんだろうと思うことにしてはどうでしょうか。
■長谷川さんの話を聞いて
小さく始めて、徐々に自分の好きな形にしていくという、長く経営を続けられる典型的なスタイルだと思います。創業計画書の内容がそのまま実現されていて、着実に夢が現実となっている様子を見ることができました。
お店の中は、とても素敵で居心地の良い空間が広がっており、地域の方からも愛されるお店になっていて感動しました!
問合先:商工労政課
【電話】35-4519
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