写真・文/帯広の森・はぐくーむ 日月(たちもり)伸
■「帯広の森」50年の節目に
木にあけた巣穴で待つヒナに餌を運ぶアカゲラ。初夏の帯広の森での光景です。
アカゲラなどのキツツキが穴を開けたり、自然に枝が折れたりしてできる木の空洞を樹洞(じゅどう)といいます。樹洞の中は外敵から襲われにくく、保温性も高くて、優れた居住空間。モモンガなどの小動物、シジュウカラなどの小鳥やフクロウなど、さまざまな生き物が子育てやねぐらとして利用し、森に多様性をもたらします。樹洞は、樹齢を重ね、太くなって幹の内部が朽ちた木にできるので、樹洞の多さは森の豊かさや成熟のものさしともいえます。
造成開始から今年で50年を迎える帯広の森。木々が育ち、森らしくなってきていますが、市民植樹で植えてきた樹木はまだ若く、樹洞ができるようなものは多くはありません。「百年の計」と言われる森づくりの時間の中では、今はまだ途中地点。森として成熟していくには、まだまだ長い時間が必要です。
帯広の森は市民が植えて、育ててきた森です。今後、名実ともに市民の森に育てていくために、森の成長とともに、森と市民の関係も成熟させていきたいものです。50年の節目、帯広の森の今後を、皆さんとともに考えていく機会にできたらと願っています。
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