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自治体の皆さまへ

市長コラム 夢かなうまちおびひろ

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北海道帯広市

■ことば
帯広市長 米沢則寿
皆さんは、街で外国人に話しかけられた時など、ことばが分からず頭が真っ白になった経験はありませんか。ことばが通じないと思う相手とのコミュニケーションは誰もが不安になるものです。
結婚して間もない27歳の頃、北アフリカのアルジェリア・オランに単身赴任しました。ある日、日本にいる妻から、長女誕生の知らせが現地事務所の電信室に届きました。とはいえ、すぐに帰国もできず、いつものようにオフィスで執務をしていると、アルジェリア人の作業員や清掃員の人たちが、大勢訪ねて来ました。
驚いてドアを開けると「ベベ、べべ」と言いながら、私の手を両手で握ったり、肩を抱きしめたり、赤ん坊を抱くポーズをとるなど、子どもが生まれて父親となった私を、思い思いの形で祝福してくれました。人生で子どもの誕生が最も喜ばしいイベントの一つであることは世界共通であり、自分ごとのように喜んでくれたのだと思います。日本語も英語もフランス語も話さない現地の人々でしたが、握られた手や引き寄せられた肩の感触が、国や人種、文化を超えて気持ちとして伝わり、感動したことを今でも覚えています。
また先日は、耳の聴こえるお母さんと聴こえないお母さんが、手話を楽しみながら交流する子育て手話サークル「ピングー」の皆さんと、手話通訳者を交えて対話する機会がありました。普段から、自分の思いを丁寧に伝え、相手を知りたいという思いを大切に活動されており、コロナ禍においては、相手のマスクの下の表情を想像し、自分もマスクから表情をあふれ出させる気持ちでコミュニケーションを取っていたそうです。
「ことば」は思いを伝え合い、人と人がつながる大切なコミュニケーションツールです。しかし、最近ではSNSなどで人を不愉快にさせたり、傷つけたりするネガティブで一方的なことばがあふれているように思います。言語が異なったり、見たり聞いたりすることができない、顔が見えないなど、さまざまな状況もありますが、「ことば」は本来、お互いを理解し、幸せに楽しく生きるためのものであるはずです。相手が置かれている環境や背景を想像し、共通の思いがあれば気持ちは伝わるのだと思います。
5月18日は「ことばの日」だそうです。私も皆さんと、喜びや幸せを共有できるよう、心を込めて「ことば」を使っていきたいと思います。

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