■「ほろみのり」種子保存・増殖秘話
幌加内ソバの独自品種「ほろみのり」が品種登録されてから20年になります。1997年に生産されたキタワセソバの有限新育性を示した個体を選抜し、そこから同様に個体の選抜を5回繰り返し、有限新育性が「固定が確認された」ため、「幌系3号」が誕生しました。その種子で生産量検定(他品種と比較し特性をつかむ)を行い2004年に「ほろみのり」が品種登録されました。
幌加内そばの一つの顔であるこの品種、種子は「育成者権」を持つ町が保存・増殖を繰り返し行います。農業経営者が行う栽培は「畑心土破砕⇒耕起⇒施肥・播種⇒除草剤散布⇒収穫⇒出荷」になりますが、「種子増殖」は下記の内容・手順になります。「こんなにあるの?」あります。
栽培場所:農業技術センター試験圃にある均平版(コンクリート)
栽培方法:パイプハウスにネット展張~網室栽培(6棟)
▽作業手順
・均平版上にパイプハウス6棟設置(5月)
・シクラメン鉢に園芸培土充填(2100鉢 5月)
・播種(1ポット2粒)⇒ハウス内設置(6月)
・ネットかけ(〃)
以下の間、ポット内が乾燥しないよう、かん水(年間10~15回)
・間引き(一本揃え)(〃)
・支柱立て、支柱括り付け(6~7月、2~3回)
・訪花昆虫放飼(ハエ)2回~白サシを約1週間加温後に羽化、放飼(7月)
ここまで
・収穫(8月)
・乾燥(センター内温室、9~1月)
・脱穀、選別(2月)
▽ポイントは
(1)虫媒花のため訪花昆虫のハエ以外は決して虫を中に入れない
他品種との交雑は絶対に×(網の破れも隙間を少しでも空けることも厳禁)
(2)1株毎の育つ土がわずかのため、乾燥しやすいのに注意
(3)ここで収穫されて保存している種子を農業者の圃場で増殖・採種しますが周囲にソバ畑が無いことが必須(他品種との交雑を避ける)
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