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地下の研究現場から 第337回-坑道のコンクリートはどのくらい劣化する?

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北海道幌延町

国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター
モグ太くん:私たちの行っている研究について、広くご理解いただくために幌延町広報誌「ほろのべの窓」の誌面をお借りして町民の皆様をはじめ、ご愛読者様に研究内容についてご紹介させていただきます。

地層処分では、処分場を建設するのに10年程度、そのあと処分場に放射性廃棄物を定置して閉鎖するまでに50年以上の年月がかかると想定されています。そのため、長期間にわたって地下深部の坑道内の空間が安全に保たれていることが必要となります。
地下の坑道壁面には一般的に、坑道が崩れないようにコンクリートが吹付けられます。この吹付けたコンクリートが、時間とともにどのように劣化するかを把握することは、処分場の長期的な安全性を評価する上で重要です。幌延の地下施設の坑道のコンクリートはすでに施工から10~15年が経過しています。施工したコンクリートは、施工直後に変化が起こりやすいことから、初期状態や施工から数年間の変化に関する詳細なデータを得ることを目的として、地下施設に施工したのと同様の条件でコンクリートの試験体を作製し、地下施設で空気中と地下水中の二つの条件で、地下環境でコンクリートがさらされる両極端の水分状態を想定した試験を行っています。
試験開始から約2年が経過した試験体に含まれる無水硫酸(SO3)の濃度を分析した結果を図1に示します。空気中の場合、SO3の濃度は内部(緑色)と比べて、表面から約6mmの深さまでは濃度が減少している(青色)ことが分かります。また、この領域では0.01μm~0.1μmの非常に小さな空隙の割合が増加していることが分かりました。一方、地下水中では濃度変化が生じている領域が1mm未満とごくわずかでした。この違いは、空気に触れることでコンクリート中のSO3が分解されるためと考えられます。しかしながら、これらの変化のスケールはいずれも微小であり、2年間という短い期間であればコンクリートの性質への影響は小さいといえます。今後も同様の試験や分析を継続するとともに、地下施設に施工されているコンクリートの採取・分析や、長期的な変化に関するモデル化・解析などへの反映を行っていく予定です。

写真、図は本紙をご覧ください。

広報調査等交付金事業

お問い合わせ先:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
幌延深地層研究センター…【電話・告知端末機】5-2022【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/
ゆめ地創館…【電話・告知端末機】5-2772【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/yumechisoukan/index.html

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