国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター
モグ太くん:私たちの行っている研究について、広くご理解いただくために幌延町広報誌「ほろのべの窓」の誌面をお借りして町民の皆さまをはじめ、ご愛読者様に研究内容についてご紹介させていただきます。
一般に、地下深くに坑道を掘削すると坑道に地下水が流入しますが、これは坑道と地下水の通り道になる断層とが交差するためです。坑道に地下水が流入して、掘削工事に影響が出ることを避けるため、断層に対してセメント材料を注入するなどの湧水抑制対策が行われます。地層処分においては、坑道への地下水の流入は掘削工事への影響だけでなく、坑道の周辺環境を変化させてしまう可能性があるため、この地下水の流入量(湧水量)を少なくする必要があります。湧水量は時間の経過とともに自然に減少しますが、その減少速度は場所によって異なります。例えば、ある場所では1か月経っても湧水量がほとんど減少しないのに対し、別の場所では数日で湧水量が大きく減少する場合などがあります。今回は、これまで良く分かっていなかった、湧水量の減少速度の違いの仕組みについて紹介します。
地下施設を掘削した際に坑道と交差した断層からの湧水量の減少速度を調べたところ、坑道掘削前のボーリング調査の結果から推定した断層内の隙間のつながり方と、湧水量の減少速度は密接に関連することが分かりました。すなわち、断層内の隙間が互いによくつながっている断層では、1か月経過しても湧水量がほとんど減少しないのに対し、断層内の隙間のつながりが限定的な断層では、数日から数週間で1/2~1/10まで湧水量が減少します(図)。このような湧水量の減少速度の違いは、断層内の隙間のつながり方と地下水の水圧の伝わり方との関係を用いたコンピュータシミュレーションで説明できることを、明らかにしました。
今回明らかにした断層内の隙間のつながり方と湧水量の関係を利用することで、坑道掘削時に湧水が発生した際の湧水量の減少速度を予測することができます。また、湧水量の減少速度が速いと予測できる場合は湧水抑制対策を行わないなどして、掘削工事を効率化することができます。
図は本紙をご覧ください。
広報調査等交付金事業
お問い合わせ先:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
幌延深地層研究センター【電話・告知端末機】5-2022【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/
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