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地下の研究現場から第45回-地下水の通りみちを塞ぐ「壁」=止水プラグの吹付け工法

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北海道幌延町

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター
モグ太くん:私たちの行っている研究について、広くご理解いただくために幌延町広報誌「ほろのべの窓」の誌面をお借りして町民の皆様をはじめ、ご愛読者様に研究内容についてご紹介させていただきます。

第28回(2022年10月号)で紹介した「処分場を安全に埋め戻すには?」では、地下300mより深い地層に掘削した坑道に廃棄体や人工バリアをすべて設置し終えた後、坑道や坑道に近い部分の岩盤が地下水の通りみちになることを防ぐために埋め戻し材や止水プラグを設置することを紹介しました。今回は、そのうち止水プラグを設置するための技術について紹介します。
止水プラグは、坑道の壁の一部を拡げた「切欠き部」を設け、そこに地下水の流れを遅くするはたらきのある粘土材料で作ったブロックを積上げる方法が考えられています。
積上げたブロックと「切欠き部」の岩盤の間に生じる隙間は、同じ粘土材料を吹付けることで埋めることが検討されています(吹付け工法)。吹付け工法は、高圧の空気を用いてノズルの先から粘土材料を高速で吹付ける方法です。この方法は、比較的単純で狭い空間での作業性が良いという利点がある一方、粘土材料の配合や水分量などによってはホースやノズルが詰まってしまうという作業上の課題があります。
幌延深地層研究センターの地下施設では、このような止水プラグを設置する方法の有効性の確認や課題の解決のため、坑道の側壁の一部を1m程度拡げた「切欠き部」にベントナイトとケイ砂を混ぜた粘土材料を吹付ける試験(図)を行い、吹付けに用いる粘土材料の状態や作業手順、吹付けた後の粘土材料の状態を確認しました。吹付けに用いた粘土材料は、水分量を適切にするため、地上の施設で水分量を管理しながら作製し、吹付ける際に用いる空気から水分を取り除くことで粘土材料の水分量が作製した時と変わらないように対策しました。
これらの対策により、ホースやノズルが詰まることなく吹付け作業を終えることができました。吹付け作業完了後に、吹付けた粘土材料を採取して乾燥密度※や水分量を測定した結果、設計よりも高い乾燥密度で吹付けがされており、止水プラグを設置するための方法として吹付け工法が有望であることが確認できました。
※乾燥密度とは、ある体積に含まれる土粒子のみの質量を考えた場合の密度のことを言います。

図は本紙をご覧ください。

広報調査等交付金事業

お問い合わせ先:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
幌延深地層研究センター…【電話・告知端末機】5-2022【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/
ゆめ地創館…【電話・告知端末機】5-2772【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/yumechisoukan/index.html

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