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言葉を通して知るアイヌ文化 7

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北海道幕別町

■ペカンペ(ヒシの実)
アイヌ民族が食料として大切にしてきたもののひとつにペカンペがあります。ペカンペは、ペ・カ・ウン・ペ「水・の上・にある・もの」が語源で、ヒシの実を指します。ベカンベと書かれていることもありますが、アイヌ語ではパ行とバ行の区別がないので、ペカンペ、ベカンベどちらで書いても間違いではありません。
ヒシは沼や湖に見られる植物で、水面に浮かんで葉を広げ、その葉の裏側にひし形の実をつけます。その実は堅い皮で覆われトゲがついていますが、中にはクリのような味のおいしい実が入っています。秋になって実が熟すと、アイヌは丸木舟に乗ってこの実を採り、茹でてそのまま食べたり、ご飯やおかゆに混ぜて食べたりしていました。干して保存食にもしました。
標茶町の塘路湖はペカンペの産地として有名ですが、塘路湖にペカンペが多いわけを語るこんなお話があります。

昔、阿寒湖にはたくさんのペカンペが実っていました。しかし、ペカンペが湖を汚すので、湖の神は怒ってペカンペを追い出してしまいました。怒ったペカンペたちは塘路湖に引っ越ししました。その時、むしった草を丸めて湖に投げ込み、「藻になって湖を汚せ」と呪いの言葉を残しました。それがいまのマリモとなり、アイヌたちはこれをトーラサンペ(湖の妖怪)と呼んでいるのです。

文・写真:阪口 諒(さかぐちりょう)

問合せ:生涯学習課学芸員
【電話】(幕)54-2006

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