サロルンカムイ(タンチョウ)
タンチョウはアイヌ語でサロルンカムイと言います。サロルンカムイはサラ(葦(あし)原)オロ(のところ)ウン(にいる)カムイ(神様)で、「葦原にいる神様」という意味です。この呼び名はタンチョウの暮らす場所に由来しています。猿別(川)の由来であるサラ・ペッ(葦原・川)にもサラという言葉が入っています。
十勝では毎年、「十勝川サロルンリムセ」という催しが開かれていますが、サロルンリムセとは、サロルンカムイをモチーフにしたリムセ(踊り)です。帯広では、2人1組になって親鳥と子鳥に扮(ふん)して踊りますが、親鳥がひなを育て、そのひなが成長する様子を踊りにしたものと伝えられています。この踊りは、クマに関係した儀式のときには踊ってはいけないと言われていましたが、それはツルとクマの仲が悪いからだといいます。こんなお話もあります。
ある時、十勝のケネという村のおじいさんが狩りに行ったところ、悪いクマに殺されてしまいました。村人は仇を打つためそのクマを追いましたが、林の中に隠れてしまいました。その時、木の上にツルの夫婦がいて、子どもを育てていましたが、ツルは無断でやってきたクマをくちばしで散々につついて倒してしまいました。くちばしが曲がるほど激しくつついたので、その地をエトゥ・レウケ・ニタチ(くちばし・が曲がった・湿地)と呼ぶようになったということです。
※「サラ」の「ラ」、「オロ」の「ロ」、「十勝川サロルンリムセ」の「ム」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
文・写真:阪口諒(さかぐちりょう)
問合せ:生涯学習課学芸員
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