■アイヌ語の発音―小文字のプ、ッ、ク―
広報6月号のチピヤク(オオジシギ)では、見慣れない文字が出てきて不思議に思った方もいらっしゃるかもしれません。アイヌ語では、カタカナ表記をする場合、日本語にない発音をこうした小文字のカタカナを使って表記します。十勝の語源であるトカプチという言葉にも小文字が使われます。
小文字のプ、ッ、クは、アイヌ語では母音がつかない音を表します。
プ、クで表記される音は日本語話者が「ッ」に聞き間違うことが多くあります。どうやってそれらの文字を発音するか、サという音と組み合わせて説明したいと思います。
サプ《下りる》は日本語で「さっぱり」と言うつもりで「ぱり」を言わないで発音します(このとき唇が閉じています)。サク《夏》は「サッカー」と言うつもりで「カー」を言わない発音です(舌の先が下の歯の後ろあたりにきて奥のほうでくっついた感じがします)。サッ《乾く》は「さっと」と言うつもりで「と」を言わないで発音します(舌の先が口の中の上の部分につきます)。
ちなみに、札内はアイヌ語のサッナイに由来しますが、これはサッ《乾く》ナイ《川》という意味です。水量が少なくなる時期があるので、そう名付けられたともいわれています。
※「プ、ッ、ク」の「プ」「ク」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
文:阪口諒(さかぐちりょう)
問合せ:生涯学習課学芸員
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