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大切な地域の風景「文化的景観」

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北海道平取町

北海道平取町〔アイヌの伝統と近代開拓による沙流川流域の文化的景観〕は、国の重要文化的景観のひとつに選ばれています。

■『二風谷コタンに冬の暮らしの知恵をみる』
11月後半以降、二風谷コタン周辺でも雪が降るようになり、徐々に白い冬景色へと装いが変わってきました。北海道の暮らしやアイヌの文化継承を考えるうえで、冬を暮らすための知恵が欠かせません。冬の二風谷コタンを体感し、博物館を見学することで様々に見えてくるものがあります。
北海道で親しまれている料理に「鍋料理」があり、石狩鍋や三平汁、てっぽう汁といった郷土料理が知られています。アイヌの伝統的な料理もその多くが鍋料理で、チセの囲炉裏に吊るした鉄鍋で、ルㇽやオハウと呼ばれる汁ものやラタㇱケㇷ゚(煮物)、サヨ(かゆ)など様々な料理が作られました。とりわけ魚を具材にしたチェㇷ゚ルㇽ(魚汁)は、日常的によく食べられた料理として平取町に継承されています。インターネット上にもたくさんアイヌ料理のレシピがありますので、ご家庭でも作ってみてはいかがでしょうか。冬の肌寒さの中で体を暖める鍋は格別な美味しさがあります。
チセの囲炉裏で火にあたる暮らしは、世代間でしっかりとコミュニケーションをとる機会にもつながります。冬の暮らしは屋内で薪の火を絶やさないことが大事です。かつてはおじいさんやおばあさんが火の管理を担うことが多く、孫の面倒を見ながらウパㇱクマ(言い伝え)やユカㇻ(英雄叙事詩)などを語り聞かせたと言われています。
冬は肉や魚などの保存に向いています。冷蔵・冷凍が容易で、虫がつく心配もほとんどありません。森林に行ってもクマやヘビ、ハチ、ダニなどに出会うこともないことから、比較的安全に狩猟を行うことができる季節です。アイヌ伝承で、冬が男の季節と言われるのは、冬山での狩猟時期と重なることに起因します。
雪に覆われた二風谷コタンを散策しながら、ぜひ北海道に受け継がれた料理、家族の関係、生業などに想いを馳せてみてください。文化的景観の保全は、地域文化の継承に寄与するだけでなく、住民が地元の良さを再認識し、あらためて郷土学習を行っていくためのツール(道具や手段、方法)にもなります。地域らしさを大事にする意識は、今後一層まちづくりのキーワードになっていくと考えられます。

■「二風谷イタ」・「二風谷アットゥㇱ」地域団体商標に登録 ~鈴木知事表敬訪問~
道内で唯一の伝統的工芸品である「二風谷イタ」が9月5日に、「二風谷アットゥㇱ」が11月13日に地域団体商標に登録されました。これを受け、二風谷民芸組合 代表理事 貝澤守氏と遠藤町長が、12月17日(火)に鈴木直道知事を表敬訪問しました。知事室にはマキリが展示されており、アイヌ工芸品が北海道を代表する地域ブランドになっています。
※「二風谷アットゥㇱ」の「シ」は、アイヌ語表記上、小文字で表しています。

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