みなさんは「ヒートショック」という言葉に、聞き覚えはありますか?
急激な温度変化に体が対応できないと起こってしまう症状で、寒くなってきたこの時期に起こりやすく、時には命にかかわる重篤な疾患を引き起こす恐れがあります。
今回は、ヒートショックが起こる原因と予防について紹介します。万が一のために備えましょう!
■ヒートショックを引き起こす要因とは
体は、血管を縮めたり広げたりして、温度の変化に対応しており、寒いところへ行くと血圧が上がり、暖かいところへ行くと血圧が下がります。このときに血圧が急激に変化することで、ヒートショックを引き起こすとされています。
ヒートショックが発生しやすい場所は、トイレや脱衣所・浴室などの「冷え込んだ室内」です。厚生労働省の発表によると、令和3年度に高齢者(65歳以上)が家や居住施設の浴槽で死亡した人数は4,750人。この10年間で約1.5倍に増えています。
また、この人数は、交通事故による死亡者数(2,150人)より多いのです。
一連の入浴の動作で考えてみましょう。暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動、お湯で温まったあとに寒い脱衣所へ戻る……というように、血圧が何度も急激に変化して、体に大きな負担がかかるのが分かります。
特に高齢者や、心臓の病気・高血圧・糖尿病などを持病に持つ人は、ヒートショックが発生しやすく、心臓や血管の重篤な疾患が引き起こされやすいとされているため、注意が必要です。
■ヒートショックを起こさないために…
ヒートショックによる重篤な急病を防ぐためには、本人だけではなく、家族や周りの人が一緒に対策を練ることが大切です。
特に多く発生する、浴室での注意点をまとめました。「自分は大丈夫」とは思わずに、対応・準備をすることが重要です。
●入浴前に脱衣所や浴室を温めておく
脱衣所の床にマットを敷いたり暖房器具を設置する、入浴前には湯船のふたを開けておく、シャワーなどで浴室の床を温めるなどの対策をしましょう。
ヒートショックが起こりやすいとされる人は、浴室内が十分に温まっている2番目以降に入浴するのも効果的です。
●熱いお湯に長時間浸かるのを避ける
冷たい体でお湯に入ると負担になるので、かけ湯などで手足の先から順に体を温めましょう。
お風呂の温度は41度以下、浸かる時間は10分以内が目安です。熱いお湯に入りたい場合は、徐々に温度を上げるようにしましょう。
●浴槽から急に立ち上がらないようにする
急に立ち上がると、脳が貧血状態となり一時的に意識を失うことがあります。手すりなどを利用して、ゆっくり立ち上がるようにしましょう。
●入浴する前には同居者に一声かける
もしヒートショックが起こってしまっても、早期に発見されれば命が助かる可能性が高まります。
同居者は、長時間入浴している、音がしない、突然大きな音がしたなどの異常に気付いた場合には、ためらわずに声をかけて状況を確認しましょう。
●食後1時間以内や、飲酒後の入浴は避ける
食後や飲酒後には血圧が一時的に下がるため、注意が必要です。
体調が悪いときや、精神安定剤・睡眠薬などの服用後も、入浴は避けるようにしましょう。
もし浴室で、ぐったりしている、溺れている、反応が悪いなどの状態を発見した場合は、直ちに119番通報をお願いします。
日本気象協会ではホームページで「ヒートショック予報」を公開しています。
予防に活用ください。
問合せ先:救急指令課救急担当
【電話】33-0992
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