昨年10月号の特集でも取り上げた「ヤングケアラー」。ヤングケアラーとは、家族にケアを要する人がいる場合に、無償でケアを引き受けている18歳未満の子どものこと。令和4年度に行った実態調査では、ヤングケアラーを含むケアラーの多くが、日常生活による心身の悩みや、将来への不安を抱えていることがわかっています。
市では、ケアラーを社会全体で支えることを目的に、今年4月、石狩管内で初めてとなる「恵庭市ケアラー支援条例」を制定。条例では、行政・市民・事業者および関係機関が連携し、ケアラー支援を進めていくよう定められています。
さらに、支援に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、「恵庭市ケアラー支援推進計画」を策定。「普及啓発の促進及び理解の促進」、「ケアラーの早期発見及び相談の場の確保」、「ケアラーを支援するための地域づくり」の3つの柱を基本的施策とし、支援に関する基本方針や、具体的施策を記述しました。
その施策のひとつである、市内小・中学校、高校を対象としたヤングケアラー講習会。この講習会は、当事者になりうる子どもたち、日常的にその子どもたちに関わる可能性が高い立場である教員に、さらにヤングケアラーへの理解を深めてもらうことを目的としています。
4月24日(水)には、1回目となる講習会を柏陽中学校で開催。全校生徒約290人が、講師である「北海道ヤングケアラー相談サポートセンター」の加藤高一郎さんの話に耳を傾けました。
講習会は、北海道のゆるキャラの名前を当てるクイズから始まるなど、始終穏やかな雰囲気で進行。途中には、「ヤングケアラーについて説明できる?」や「もし家族が病気になったらどうする?」などの質問が投げかけられ、生徒が意欲的に発言する場面も見られました。
講習会を通じて伝えられたのは、「ヤングケアラーは、クラスに1~2人おり、特別な存在ではない」ということ。そして、「自分がそのような状況になったときにどうするのか、今から考えておくことが大切」ということ。
最後には「自分が当事者になったときは、ひとりで抱え込まず、できる限りでいいから誰かに話すこと。家族と同じくらい自分を大切にしてほしい」とメッセージが送られ、困ったときに気軽に相談できるよう、相談先が書かれたカードが一人一人に配られました。
講習後、生徒に行われたアンケートでは、「ヤングケアラーという言葉を知っていましたか?」という質問に約3割の生徒が「知らなかった」と回答した一方、「今日の講座を通して、ヤングケアラーについて理解を深めることができましたか?」という質問に対しては、ほぼ全員が「理解を深めることができた」と回答しました。また、「自分が思っていたよりもヤングケアラーが多いことにびっくりした」や「今日の講習会を受けて、もしかしたら私もヤングケアラーではないかと思った」との声もありました。
市は、今後もすべてのケアラーとそのまわりのすべての人が自分らしく、いきいきと安心して生活できる社会の実現を目指し、さまざまな施策を行っていく予定です。
◆生徒の声
▽ヤングケアラーという言葉を知っていましたか?
▽自分はヤングケアラーだと思いますか?
◇自由意見
・ヤングケアラーについて、もっとたくさんの人が知るべきだと思った。このような機会があってよかった。
・恵庭市にもサポートセンターがあればいいと思った。
などなど
(アンケート回答数250)
○自分もいつこのような状況になるかわからないので、今からヤングケアラーについて調べたり頼れる場所を見つけておこうと感じました。
3年生 朝戸菜月(なつき)さん
○今までヤングケアラーという言葉しか知りませんでしたが、この講習会で話を聞いて、深いところまで知れたと思います。
3年生 曽福椛(もみじ)さん
問合せ先:福祉課
【電話】33-3131(内線2962)
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