■音楽と安らぎ
すこやかクリニック新篠津
院長 松井 亮
しばらく前にテレビで見聞きした話をします。世界口笛大会という催しがあり、その中で言われていたことです。「昔は誰でも口笛を吹いていた。しかし今は世の中があわただしくなって口笛を吹く人がいなくなった」と。人の心が落ちつかなければ口笛や鼻歌は出てこないのですね。
台湾出身の歌手、鄧麗君(テレサ・テン)が歌った「月は私の心を映している」という曲があります。この歌を初めて聴いた中国大陸の兵士は「自分達は抑圧されている」と実感したそうです。当時中国では優雅な曲は許されなかったのでしょう。
しかし「昼は鄧小平の演説を聞き、夜は鄧麗君の歌を聴く」と、だじゃれ混じりに言われるほど多くの中国大衆が鄧麗君の歌の高額なテープを買い求め、夜こっそり聴いたと言われています。それほど彼女の歌が大きな安らぎを与えたということです。
ご存知のように、今の日本ではスマホで世界中の音楽が聴けます。日本と近隣の国々の曲調は似通ったものが多いように思います。メロディーや歌手の声、楽器の音色、リズム等のどこに魅力を感じるのかは人によって違いますが、そこに気持ち良さがあるからまた聴きたくなるのですね。
私の個人的感想ですが、どんな曲でも楽器でことさらゆっくり演奏しているのを聴くと、とても心地好く感じます。ストレスが多くせわしないこの現代、せめて音楽で気持ちを少しでもほぐして頂きたいと思います。
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