巧みな技術で私たちの暮らしを支える職人たち。経験を重ねるごとに魅力を増す、技能の世界を紹介します
■File No.13 木工塗装技能士
主に家具などの木工製品の塗装を行います。着色するだけではなく、木材の保護や素材感を生かすことも重視されるため、より高い塗装技術や知識・経験が求められます。
▽木工塗装技能士 米澤栄次(よねざわえいじ)さん
昭和47年旭川市生まれ。21歳でインテリア平田塗装に入社。30年以上木工塗装に携わる。1級木工塗装技能士。
▽Check!!木工塗装技能士になるには?
木工塗装技能士は国家資格で、1級と2級があります。実務経験によって受験できる級が異なり、実技・学科試験の両方に合格することで木工塗装技能士と称することができます。
▽日々勉強の世界で、若手育成にも全力
Q なぜ塗装の世界へ?
若い頃、母が木工塗装の会社に勤めていて、ちょうどその会社から母の上司が平田塗装に移るタイミングで、つてがあり入社したのがきっかけです。もともとプラモデルやジオラマが好きだったこともあり、続けるうちに技術も上がり、楽しくなっていきました。
Q木工塗装とは?
木工家具や木の壁・床などに、はけや吹きつけ等で塗装します。塗装というと色を塗るだけと思われがちですが、木工塗装のポイントは「美化と保護」。昔の柿渋など、天然素材の塗料は強度が弱かったのですが、現在の化学塗料は保護の点でかなり進化しています。紫外線や水、熱などから守る様々な塗料を、材質に合わせて使用しています。
Q難しさはどのあたりですか?
木は天然素材のため、一つ一つ状態が違います。材質に合わせて調色する作業が難しさでもあり、楽しさでもあります。家具の街旭川で早くから家具作りと塗装を分業にしたのは、木工塗装は専門性が高いからだと思います。
また、扱う塗料は次々と新しいものが出てきます。例えば、コロナ禍は抗菌作用のある塗料の要望がかなり増えました。最近は環境や健康面から天然素材に回帰する流れもあります。時代に対応するのは大変で、勤続30年を超えた今でも、勉強の毎日です。
Qやりがいを感じる瞬間は?
当社は市内近郊の家具屋さんに職人を派遣していて、派遣先ごとに要望が違います。例えば節を目立たないように塗ってほしい、いやこの節がいいんだ等、注文は千差万別です。お客様と相談して仕上げたものを喜んでもらえるのが、一番のやりがいですね。それには塗装の技術はもちろんのこと、お客様の要望をしっかりとくみ取るコミュニケーション能力も必要です。
Q今後力を入れたいことは?
自身の技術を磨くと同時に若手育成も大切で、デザイン系専門学校の生徒さんなどを対象にインターンシップを行っています。当社の若手の中にも、職場体験をきっかけに入社を決めた社員もいるんですよ。ぜひ機会を見つけて体験してみてください。手に職をつけるのは強みになりますからね。
詳細:産業振興課
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