■暮らしの安心と未来への投資両立予算
令和7年度は、徹底した行財政改革による将来負担の軽減と物価高騰対策、未来に向けた投資を主眼に置き「暮らしの安心と未来への投資両立予算」として編成しました。
まず、物価高騰対策に関しては、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金などを活用した、物価高騰の影響を大きく受ける低所得者世帯や子育て世帯への支援に加え、教育や農業、交通などに関しては令和7年度予算案の主要10項目においてそれぞれ実施していきます。
以下、主要10項目に関して申し述べます。
[1]いじめ防止・教育・子育て支援
いじめ防止対策に関しては、いじめ防止等対策委員会から示された20項目およびいじめ問題再調査委員会から示された29項目、合計49項目の提言を踏まえ、専門人材の活用、教職員の資質向上、不登校児童生徒への支援、情報モラル教育などを充実していきます。
特に不登校対策に関しては、令和5年度の不登校児童生徒数が小・中学校で585人となっており、近年は増加傾向にあることから対策強化が急務となっています。
そのため、これまでの学校での対応や教育支援センター「ゆっくらす」での学習支援等に加え、中学校2校に校内教育支援センターを設置し、支援員を配置して、何らかの理由により、自分のクラスに入ることができない児童生徒の心のケアや学習サポートなどを行うとともに、支援員は(仮称)いじめ対策官として校内の見守り巡回や子どもへの声かけなど必要に応じた取組みを行っていくことに加え、フリースクールや地域ボランティアとの連携による学習支援等も新たに実施し、子どもたちの幅広いセーフティネットを確保していきます。
また、専門人材のさらなる活用により、いじめ防止対策を強化していくため、精神科医をいじめ防止対策アドバイザーとして委嘱し、心のケアを行うとともに、警察官OBを青少年育成支援員として任用し、いじめ・非行防止教室の企画運営などを行います。
これら、いじめ防止「旭川モデル」のさらなる充実のため、(仮称)旭川市いじめ防止対策推進基金を創設し、全国の皆様からの寄附を相談支援の強化、普及啓発の推進、学校の体制強化などに活用していきます。
また、私は、役員を務めている中核市市長会において、令和7年度に子どもの学びの環境充実に向けたプロジェクトの責任者となっており、全国の中核市市長と共に、いじめ防止や不登校対策の課題などを整理し、国に対して支援策の提言などを行っていきます。
さらに、いじめ防止対策に係る各自治体の先進事例を幅広く全国の市町村に共有するための情報交換や自治体共同による関係省庁への要望活動などを行う(仮称)いじめ防止対策首長連合の発足を目指していきます。
子育て支援に関しては、子ども医療費の市独自助成の対象をこれまでの中学生から高校生年代までに拡大します。令和7年8月から実施し、対象となる約7千人に関して医療費無償化を実現します。
学校給食費に関しては、令和5年度値上げ分は保護者にご負担いただきますが、令和7年度値上げ分に関しては公費負担とし、一人当たり年額で、小学生は7千800円、中学1・2年生は9千円、中学3年生は8千700円分を支援します。
教育ICT環境の充実により教員や児童生徒の力を最大限に引き出すため、令和7年度に新たなタブレット端末を約2万2千台購入し、令和8年度に全小・中学校に整備し、ICT教育をさらに進めていきます。
また、教職員の負担軽減に向け、中学校の部活動の地域移行をはじめ、働き方改革につながる取組みを推進していきます。
旭川市立大学に関しては、令和8年4月の新学部設置に向けた施設整備を支援していきます。また、国内外の他大学との連携など価値向上につながる取組みを大学と共に進めていきます。
様々な個性や感性を持った子どもたちが共に遊び、学ぶことができる環境づくりを推進するため、愛育センターにインクルーシブ遊具を導入します。なお、導入に当たっては、旭川未来会議2030でお聴きした、保護者、有識者、地域の方の意見を反映していきます。また、幼稚園に対し、特別支援教育等で利用する知育玩具や療育玩具の購入経費の一部を助成していきます。
今年4月から運営を開始する保育センターでは、市全体の保育水準の維持・向上を図るとともに、医療的ケア児を含む特別支援保育の受入れの充実など、保育を必要とする全ての子どもと保護者に最適な保育を提供する取組みを推進します。
不妊治療における経済的負担軽減を図るため、先進医療に要した費用の助成に加え、受診をされた市外の医療機関までの距離に応じた交通費の助成を新たに行います。また、産後ケア事業においては、助産師によるグリーフケアを実施していきます。
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