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市長随想

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新潟県柏崎市

■キクザキイチゲ
市長 櫻井雅浩

陽光きらめく中、冬枯れからわずかに緑の萌芽(ほうが)を抱える雑木林を歩く。残雪の沢筋(さわすじ)には遅れたフキノトウが目立ち、木陰にはキクザキイチゲやショウジョウバカマの白、青、ピンクが点在する。イカリソウやオウレンもエレガントである。
そして、である。猟友会の手を逃れたイノシシが掘り返した穴がそこここに目立つ。耕したかと思われるほどである。本当に雑食性らしい。20年ほど前まで柏崎にイノシシはいなかった。
イノシシにも言い分があって、俺たちだってここまで来たくて来たんじゃない。こんなに足の短い俺たちは深い雪の中を歩くには不自由だ。「オンダンカ」で雪が少なくなって、行動範囲が広くなったのさ。おまけに「リョウシ」も「コウレイカ」で俺たちになかなか弾が当たらないのさ。いつも「あっ、さあさ」なんて言ってるぜ。
ここまで言われて引き下がる猟友会ではない。このところ数年、総がかりである。おかげさまで個体数は確実に減ってきている。
さて、人間の仕業が人間に被害をもたらし、人間が始末をする。いったい私たちは何をしているのだろう。平和を祈り、戦争をする…と、イノシシの焼き肉を食べるのである。極めておいしい。
セリ、浜辺のボウフウなど香草もおいしい季節である。東京生まれ、東京育ちの妻が言う。「やっぱり雪が降らなきゃ、みんなおいしくならないのよ」「だいたい5cm、10cmの雪で大騒ぎの東京っておかしいわよ」柏崎に来て30年、一丁前である。
昨年12月の豪雪からまだ3カ月ほどしか経っていない。そして、この冬は例年に比べ小雪であった。コロナの季節は3年が過ぎた。私たちは忘れがちである。
キクザキイチゲは環境によって白花であったり、青花であったりする。何が要因なのだろうか。

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