■キーワード
▽生理痛
主に、生理中に起こる下腹部の痛みを指します。症状が現れる期間や程度には大きな個人差があります。
※医学用語では生理を月経といいます
▽生理用品
主に、生理中に体から排出される血(経血)を吸収する製品のことをいいます。血の量や用途によってさまざまな種類があります。
▽フェムケア
「Feminine(フェミニン・女性の)」と「Care(ケア)」を合わせた言葉です。女性に多い悩みをケアする製品やサービスがあります。
▽PMS(月経前症候群)
生理が始まる3~10日前にさまざまな心身の不調が現れます。不調の種類は200以上あるといわれます。
・イライラする
・眠い
・肌荒れがひどい
・だるい
・泣きたくなる
▽更年期
一般的に45~55歳ごろのことをいいます。女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、心身にさまざまな不調が現れる人もいます。
・疲れやすい
・肩が凝る
・顔が火照る
・体が冷える
■働く女性が抱える困難
●生理時や更年期の不調は仕事にも影響が
女性特有の健康課題によって作業効率が低下することなどによる企業の経済損失は、社会全体で約3.4兆円※になると推計されています。
参考:経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について(2024年2月)」
▽女性特有の健康課題や女性に多く現れる症状により勤務先で困った経験をしたことはありますか
▽「ある」と答えた人の具体的な症状(複数回答)
・生理不順、生理痛など 71.7%
・PMS 42.9%
・更年期障害 19.2%
・メンタルヘルス 19.2%
※経済産業省「働く女性の健康推進に関する実態調査報告書(2018年3月)」を基に本市作成
●「生理休暇」の取得率は低調
労働基準法で定められた制度である生理休暇ですが、2020年の調査ではその取得率はわずか0.9%※という結果に。さまざまな理由で取得しづらいという声が上がっており、必要な人が必要な時に取得しやすい職場づくりが大切になっています。
参考:厚生労働省「雇用均等基本調査」
▽「生理休暇の利用しにくさ」で当てはまるものは?(複数回答)
※日経BP総合研究所「働く女性1956人の生理の悩みと仕事と生活」調査を基に本市作成
■悩みやつらいことを我慢しないで
NTT東日本札幌病院産婦人科 寺本瑞絵(てらもとみずえ)医師に聞きました
▽さまざまな変化が起こる女性の心と体
女性の心身は、生涯にわたって変化する女性ホルモン量の影響を受け、さまざまな不調を来すことがあります。不調に対しては、無理をしないで向き合うことが大切です。
▽月経回数の変化
現代の女性は、妊娠・出産の機会が減っていることなどから、月経の回数が昭和初期の女性と比べて約9倍に増加しているといわれています。数十年間、何度も繰り返し起こる月経とうまく付き合うことが、生活の質の向上のためにも大切です。
・月経回数の変化のイメージ
※人工乳の普及により、現代の女性は昭和初期の女性よりも短期間の傾向にある
▽健康課題との向き合い方
PMSや更年期に起こる不調には、生活習慣の見直しが有効なことも。趣味などで気分転換をして、ストレスをためない生活を心がけることも効果的です。
・適度な運動…週に3回20分以上の有酸素運動
・食事…3食きちんと食べる
・アロマセラピー
・禁煙 など
▽つらい時は無理しないで
「月経の時は痛いのが普通」「みんな我慢していること」と考える人も多いのではないでしょうか。産婦人科に関する病気のことは口にしづらく、通院をためらってしまうかもしれません。でも、月経のたびに腹痛で苦しんだり、月経前に精神的な変化があったりと、日常生活に支障が出ているようなら、ぜひ産婦人科に気軽に相談してください。
▽女性特有の不調への周囲の理解も大切
月経をはじめとする、女性の心身に起こる不調について、もっと周囲の人にも理解が広まるといいなと思います。さまざまな症状に悩む女性が我慢せず休めたり、通院しやすかったりする社会になっていくことを願っています。
生きていく上で、心身の不調は誰にでも起こり得ることです。女性の健康課題に目を向けることをきっかけとして、お互いを思いやり、支え合っていきませんか。
▽セミナーの動画を配信しています
女性の健康や男性の育休取得など、ジェンダー平等に関するさまざまなテーマで行ったセミナーの動画を見られます。
申込:3/6(木)までに本紙掲載のコードから
視聴期限:3/7(金)まで
詳細:男女共同参画センター
【電話】728-1255
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