文字サイズ
自治体の皆さまへ

子育てコラム

13/27

北海道東神楽町

◆地域で支える 子育てを考える
◇「ネウボラ」式の子育て支援
広島県はフィンランドの「ネウボラ」式の子育て支援を先駆けて取り組んでいることで知られています。フィンランドのネウボラは、妊娠期から就学前までの子どもの成長・発達への支援と家族の心身のサポートも目的としています。
ネウボラは身近な地域に設置され、妊娠するとまずネウボラへ健診に行き、そこから切れ目なく、子どもが小学校に入学するまで、保健師や助産師などの専門家からアドバイスをもらうことができます。基本的には同じ担当者が継続的にサポートをするため、お互いに信頼関係が築きやすく、問題の早期発見・予防・早期支援につながっている、とされています。
今後、地域で支える子育て支援は「親になるための支援」がより求められるようになっていくと思われます。この制度が日本でも広まっていくことを期待しています。

◇親密圏を創造していくこと
「親密圏」という言葉があります。子どもの視点から見れば「自分の存在を大事にしてくれる居場所」ということができるでしょう。
この言葉は主に家族に焦点があてられ、家族の機能が低下しつつある現代社会の課題として、その再生が求められるという意味で取り上げられることがあります。日本の近代化の過程で、人々がともに集い交流することができる「三間(時間・空間・仲間)」が減少している問題は、子どもや家族だけではなく、高齢者も含めて地域社会の中で人々が隔絶し孤立して生活しているという、共通する課題といえます。
地域で支える子育ては「家族」にのみ焦点をあてることよりも、さまざまな世代や孤立した人たちにとっても必要な「居場所」=「親密圏」を創造していくことでより豊かに実現していくと思います。

◇子ども子育て支援制度の可能性
子ども子育て支援制度は教育・保育の場の増加・充実、仕事と子育ての両立、市町村単位での地域の子育て支援の充実などさまざまな支援策を実行しようとするものですが、地方版「子ども・子育て会議」にこそ大きな可能性が秘められている、と私は考えています。
「地域の人たちにとっての」より良い「子育て支援」の方策を実現することは、すなわち子どもを取り巻くさまざまな地域の人たちがそれに関与し、その人たちにとっても価値のある活動になっていく、と考えるからです。
子どもや家族のためだけではなく、そこに関与する人にとっても暖かい心が通い合う、繋がりのある地域になっていくことを目指してこそ、素晴らしい地域社会の実現が可能になるのではないでしょうか。

◆杉本太平(すぎもとたいへい) プロフィール
宇都宮共和大学子ども生活学部教授。資格は認定心理士、人間関係士。
東京都文京区教育センターの心理相談員や埼玉県下で乳幼児健診・乳幼児発達支援・子育て支援などに従事し、現在大学において保育者養成に務めている。その他、人間関係・HRST研究会会長として関係学理論を背景に独自に開発した地域住民や対人支援の専門職者を対象に心理劇を用いたアクティブラーニング(HRST)の研修会を主催し、子育て支援者の養成を中心に各種の講演活動、子育て・人間関係に関する出版物の発行を行っている。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU