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【特集】みんなで考えよう! 東神楽町の公共交通(1)

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北海道東神楽町

日本の地方自治体が直面している大きな課題の一つに、公共交通の持続可能性が挙げられます。特に、少子高齢化が進む地方では、バスやタクシーといった公共交通の運行を支える人手不足が深刻化しており、一方で高齢者を中心とした住民の交通ニーズは高まっています。この供給と需要のギャップは、自治体の社会インフラを脅かし、住民の生活の質にも大きな影響を与えかねません。
東神楽町もこの課題に直面しており、町民の生活を支えるための公共交通のあり方を考える時期に来ています。本記事では、全国的な公共交通の現状を確認し、東神楽町内での現状や過去に行った「デマンドバスの実証実験」について改めて振り返り、また、広報10月号で実施したアンケート調査の分析結果から見えてきたこと、今後の町の取り組みについてお知らせします。

◆公共交通とは
まず、「公共交通」とは、特定の個人やグループではなく、広く一般の利用を目的とした交通手段を指します。これには、バス、タクシー、鉄道、フェリーなどが含まれ、利用者が定められた料金を支払うことで移動の自由を享受することができます。公共交通は、都市部においては通勤や通学の基盤であり、地方部では移動手段が限られるため、日常生活に欠かせない役割を果たしています。
近年、日本全国で公共交通を取り巻く状況は厳しさを増しています。特に、地方部ではバスやタクシー運転手の人員不足が顕著であり、その背景には、少子高齢化による労働力人口の減少、厳しい労働条件、さらには運転手の高齢化が挙げられます。具体的には、全国でバスやタクシー運転手の供給量は年々減少しており、2023年時点でタクシー運転手の不足率は20・1%、全国のバス運転手の不足率は2024年に約21%に達すると予想されています。
一方で、高齢化が進む地域では公共交通の需要が増加しています。全国の高齢化率は2024年時点で29・3%に達しており、特に地方自治体ではこの数値がさらに高くなる傾向にあります。東神楽町における高齢化率も29・3%と全国平均と同程度となっており、今後の更なる高齢化と免許返納者数の増加に伴い、公共交通への需要が高まることが予想されます。
バスやタクシーの供給量が減少する一方で、高齢者層を中心とした需要が拡大しているという、いわば「供給と需要のミスマッチ」が顕在化しています。
このような状況において、供給量と高齢化率には明確な相関関係が見られます。特に高齢化率が高い地域ほど、公共交通の必要性が高まる一方で、運転手の確保が困難となり、供給量の低下が問題となっています。この相関関係は、地方自治体が持続可能な交通インフラを整備する際の重要な指標となっており、政策立案においても強く考慮されています。
全国的に見ても、自治体ごとに高齢化率と交通供給量のバランスが大きく異なっており、均一な解決策を見出すことは困難です。これに応じ、各自治体では実証実験や新たな取り組みを行い、住民の交通ニーズに対応しようとしています。

◆町内の公共交通の現状
東神楽町は、人口約9800人の小さな町であり、15歳未満の年少人口比率が北海道で一番高い比較的若い町です。しかし、他の自治体と同様に少子高齢化の影響は受けており、町全体の高齢化率は29・3%に達しています。他の多くの地域と同様に、公共交通の需要が高まる一方で、供給量の減少が大きな課題となっています。
町内の公共交通手段としては、主にバス(旭川電気軌道・町営スクールバス)とタクシーが挙げられます。町内には11のバス路線があり、地域内外を結んでいますが、特に高齢者にとっては不便な時間帯も存在します。また、バス運転手の高齢化と人員不足のため、近年では運行本数が減少している状況です。
タクシーについても、町内での利用の他、観光客などの利用が増えている半面、タクシー運転手の確保が難しくなってきています。このように、バスやタクシーの供給量が減少する一方で、町内の高齢者を中心とした交通ニーズが増加しているため、現在の公共交通システムでは、将来的に住民の移動を十分に支えることが難しくなることが考えられます。
また、町内では、免許返納者も増えており、そういった面からも公共交通へのニーズが強まっています。令和6年2月に実施した総合計画に係るアンケート調査の結果からも公共交通への関心と優先度の高さが伺えます(図1)。

◇図1

上の散布図は令和6年2月に実施したアンケート調査による「満足度」と「重要度」の相関です。Aの枠内は現状で「満足度が低く」「重要度が高いと考えられる」優先して改善すべき事項です。アンケートからは、中でも特に公共交通を優先して改善すべきとなっていることが分かりました。

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