(6)希望する目的地と具体的な行き先
買い物や通院で町民が希望する目的地は、町内施設に加えて町外の商業・医療施設も含まれています。ひじり野地区と市街地地区を中心に、次のような行き先が挙げられました。
◇買い物
「ベストム」が最も多く利用希望され、ひじり野地区で37件、市街地地区で49件が利用希望を表明しています。他にも「ホクレンショップ」や「旭川駅前イオン」などの旭川市内商業施設も利用ニーズが高く、町民が町外の拠点にもアクセスしたいという要望が見えました。
◇通院
「町立診療所」が23件、「杉山内科クリニック」が31件、「町外の医療機関」が43件など、町内だけでなく、町外の医療機関も利用されていることがわかります。
(7)現状の公共交通への不満
現状の公共交通について、「どちらでもない」と回答した住民が最も多く(209件)、「やや不満」(139件)や「不満」(106件)といった回答が続きます(図6)。
一方で、「満足」と回答した住民は32件と最も少なく、現行サービスに対する肯定感が広がっていないことが分かります。ただし、「やや満足」と回答した住民が80件存在し、一定の評価をする声も確認されています。
「公共交通の存在」については、「将来自動車を手放した際に必要となる」と回答した住民が最も多く(322件)、次に「移動の目的や目的地によって利用する」(161件)、「日常生活に欠かせない交通手段」(83件)と続いています(図7)。
一方で、「わからない」(20件)や「現在も将来もあまり必要がない」(9件)と回答した住民もおり、公共交通の役割が生活スタイルによって異なることが示唆されています。
これらの結果から、現状の公共交通サービスは住民のライフスタイルや移動ニーズに十分対応しきれていない部分がある一方で、将来的な役割への期待が大きいことが明らかになりました。
特に、「将来自動車を手放した際に必要となる」という回答の多さから、高齢化社会に向けた公共交通の整備が強く求められていることが浮かび上がります。
(8)デマンド運行に対する関心
全体として266件の町民が「デマンド運行(予約型)にしてほしい」と回答しており、特にひじり野地区では313件の回答数に対し132件、中央地区では96件に対し43件と、デマンド運行への期待が強いことが示されました。
一方、他の地区では従来の運行形態の維持を望む声が比較的多いところも確認されました。
◆公共交通町の取り組み
東神楽町が直面している公共交通の課題は、全国の地方自治体が抱える共通の問題でもあります。高齢化が進む中で、住民の移動手段を確保することは、単に生活の利便性を高めるだけでなく、地域全体の活力を維持するためにも重要です。町民の皆さんが安心して移動できる環境を整えることが、町の発展と住民の生活の質向上に直結するものといえます。
そこで、町では将来を見据え、次年度以降に公共交通の実証実験を行うことを計画しています。
今後、「東神楽町地域公共交通計画(仮称)」を策定し実証実験を実施するための準備を行います。
実証実験についての進捗は今後も広報誌などで随時お伝えしていきます。
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