町史資料調査室・研究員/青木隆夫
◆No.29 馬産地への夢-谷田清次郎「頌徳碑(しょうとくひ)」
馬は農業に欠かせない動物として、町内には最盛期、二千頭を超える馬がいたと記録されています。馬と農業の関わりは、昭和54年にまとめられた水野直治先生の「馬耕時代の農作業」に詳しいところです。実は栗山は戦前まで、農耕馬や軍馬の一大生産地でした。その栗山で優秀な馬を育て、馬産地にしようと夢見た人物がいます。今の谷田製菓にも繋がる谷田清次郎氏がその人でした。牧場や栗山競馬場の造成、長万部種馬所の栗山種付所の設置、栗山家畜市場の開設など、栗山を一躍馬産地として押し上げた功労者でした。当時の栗山家畜市場(栗山競馬場跡)に大正8年に建立されたのが、谷田清次郎氏の「頌徳碑(しょうとくひ)」です。頌徳碑はその偉業・功績を讃えるために建立された碑で、除幕式は11月月16日に関係者により盛大に執り行われ、当時の新聞にも紹介されています。時代は移り、昭和の終わりには町内での飼育頭数はわずか10頭前後となり、今は農耕馬の姿を見ることもありません。碑は小林酒造倉庫群の道路向い、本門寺境内の木立に隠されたように、遠い栗山の時代の記憶を刻んでいます。
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