町史資料調査室・研究員/青木隆夫
◆No.31 先達(せんだつ)の希望が表現された「天恵(てんけい)」の像
今から30年前となる平成7年の4月に栗山町役場に新庁舎が完成、現在の景観となっています。11月には新築された庁舎内の1階ロビーに、当時栗山に在住した彫刻作家、米坂(よねさか)ヒデノリ氏のブロンズ像が置かれました。制作された作品の名は「天恵(てんけい)」。フィンランド産の花崗岩(かこうがん)の台座の上に、農具を持って立つ高さ2・1mの男女の姿です。像のモチーフは、栗山に入植した先達(せんだつ)の希望を、二宮尊徳(にのみやそんとく)が詠んだ「無尽蔵(むじんぞう)」の道歌(どうか)(道徳・教訓的な短歌)「天津日(あまつひ)の/恵み積みおく/無尽蔵/鍬(くわ)で掘り出せ/鎌で刈り取れ」からインスピレーションされ、鍬(くわ)と鎌を持つ像に込めたとされています。栗山町の記録映像の中には、この時行われた「天恵」像の完成披露で制作者本人の説明する様子も残されていました。
平成7年の年は、1月に阪神淡路大震災が発生し、3月には東京で地下鉄サリン事件などもありました。また新食糧法が施行され、米の生産・流通の自由化が推進されています。バブル崩壊後の国内社会が揺れる中でも、栗山ではフロンティアへの無尽蔵の「希望」が作品の形として残されました。
○YouTubeで歴史コンテンツ公開中!
※二次元コードは本紙P.8をご覧下さい。
問合せ:町史資料調査室
【電話】76-7820
<この記事についてアンケートにご協力ください。>