▼水産業
新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類に引き下げられたことを受け、各種規制の緩和に伴い国内旅行者やインバウンドが牽引する形で外食産業や宿泊・観光業といった経済活動も戻りつつある中、魚価単価についても総体的にコロナ禍以前の水準まで回復傾向にあります。
しかしながら、昨年8月から始まったALPS処理水の海洋放出により、ナマコやホヤといった輸出がメインの魚種につきましては単価が下落したり、消費流通が滞ったりするなどの影響を受けております。町としましては、賠償の窓口となる東京電力ホールディングス株式会社に対し、関係者へ寄り添った対応を強く要望していくとともに、事業継続等の支援制度を創設した関係省庁には、ニーズの的確な把握や制度の拡充を今後も訴えてまいります。
昨シーズンの2大太宗漁業に目を向けますと、養殖ホタテは海外輸出が堅調に推移した影響で1キロ平均400円台と高値で取引された一方、水揚量は3シーズン連続でピーク時の4割強となる1万4千トン前後に留まっており、生産能力の維持が喫緊の課題となっております。また、スケトウタラ漁につきましても、水揚量は前年比2割弱減の3千トンとなり、薄漁のため単価は3割増加しておりますが、依然として外的要因に左右されやすい不安定な操業を強いられている状況にあります。
このため、前浜における水産資源の維持・増大を目指して両漁協がそれぞれ取り組む「コンブ投石事業」、「稚ナマコ放流事業」、「ホタテ稚貝放流事業(砂原漁協)」及び「未利用資源活用試験事業(森漁協)」について、本年度も支援してまいります。
また、全国的に漁業離れが叫ばれている中、両漁協では青年部や女性部が後継者対策や製品開発といった、将来を見据えた特色ある事業に取り組んでおります。当町の基幹産業が持続可能なものとなるよう、今後も様々な形で支援してまいります。
加えて、昨年度から藻場の回復やホタテ貝殻の再利用を目的に着手した「水産業サステナブルチャレンジ事業」につきましては、将来的なブルーカーボンクレジットの取得を目標とし、今後も日本製鉄株式会社等の協力を得ながら継続してまいります。また、昨年11月に北海道電力株式会社と協定を締結した「ブルーカーボン事業及びカーボンニュートラル推進」につきましても、知見をお借りしながら副産物の地産地消を目指してまいります。
産業振興と地域防災の両面で重要な拠点としての役割を担う森港湾並びに第3種砂原漁港につきましては、安全性や利便性に配慮した多角的な機能が求められております。今後も森・砂原両漁協と連携しながら、関係省庁に対してより一層の財源確保や制度の弾力的運用等について、強く要望してまいります。
また、石倉から沼尻までの第1種漁港は5港全てで施設の老朽化が著しく、管理者である北海道が事業主体となり、計画的に漁港機能の保全や強化に伴う各種工事を進めているところです。本年度も石倉漁港と沼尻漁港の浚渫のほか、蛯谷漁港の北護岸及び東護岸の嵩上げ工事に加え、掛澗漁港と沼尻漁港の整備計画の実施設計に着手する予定であります。
▼商工業
ロシア・ウクライナ情勢の長期化、円安の影響によるエネルギー価格や原材料価格の高騰により、町内経済は深刻な影響を受け、商工業者の皆様を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いております。
昨年度、町では継続的な地域経済対策として、もりまち応援券4を発行いたしました。本年度にかけて使用していただくことで、物価高騰により厳しい状況下にある町内事業者及び町民の皆様の生活を支援してまいります。また、エアコンの設置等にも利用いただける建設商品券の発行を支援し、町内建設業の需要を喚起し、地域経済の活性化と町民の皆様の健康を守ってまいります。
喫緊の課題である後継者不足等による廃業の増加に対しましては、北海道事業承継・引継ぎセンターや町内各種支援機関と連携を行い、町内事業者の実態を把握するためのアンケート調査の実施により、事業承継問題について解決策を考えてまいります。引き続き経営支援機関である森商工会議所・森町さわら商工会への支援を行い、商工業の振興を図ってまいります。
また、地域特産品の開発・販路拡大に向け、国や道と連携し、支援に努め、商工業振興や当町の知名度向上へと繋げてまいります。
▼雇用・就労
少子高齢化による生産年齢人口の減少により、当町におきましても働き手の確保が困難な状況が続いております。
このような状況を改善するため、関係機関との連携を深め、雇用における相談窓口の充実を図るとともに、季節労働者の通年雇用化の促進と失業者の就業機会確保に努めてまいります。
また、町内での創業を促進し、まちのにぎわい創出及び産業の活性化を図るため、町独自事業として創業支援事業補助金を創設し、創業する事業者に対し支援を行ってまいります。
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