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文化財のひろば・シリーズ168

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北海道森町

■道具が壊れたら
縄文土器をよく見ると、土器の表面に穴があいているものを見つけることがあります。この穴は縄文時代の人たちが壊れかけた土器を修理するためのもので、穴に紐を通して割れ口を抑えることでまた使えるようにしていました。土器は粘土を焼いて作る器なので、私たちが普段使っているお茶碗やお皿などのように、落としたり長く使っていたりするとヒビが入って割れてしまうことがあります。中にはそのまま捨ててしまうものも多くあったのかもしれませんが、縄文時代の人たちは壊れた土器を捨てるのではなく修復して使い続けていました。
森町にも縄文時代の人々によって修理された痕跡がある土器は複数ありますが、森町では土器だけではなく土偶にも同じような痕跡を見ることができます。それは鷲ノ木遺跡から出土した縄文時代中期(約4500年前)の板状土偶で、腕や胴体の部分を観察すると3個ほど穴があけられています。割れている部分には白い付着物があり、この付着物を調べたら粘土であることが分かりました。土偶を修復していた事例というのはとても珍しく、鷲ノ木遺跡で活動していた人たちは道具を大切にしていたのかもしれません。
修理の痕跡がある土器の一部や今回紹介した土偶は、森町遺跡発掘調査事務所で展示しています。実はこの痕跡が分かりやすいように並べていますので、見学に来られた際はぜひ観察してみてください。

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