■猫?鬼?宇宙人?
土偶は縄文時代に作られた人形で、日本全国で15,000点以上出土していると言われています。
どのような使われ方をしていたかは分かっていませんが、手足の一部が欠けた資料が多いことから、祈りや願いを込めてお祭りや儀式で使われていたのではないかと考えられています。
森町でも、いくつかの遺跡から土偶が出土していますが、一際目を引くのは鳥崎神社の近くで発見された縄文晩期(約2,500年前)の土偶です。最近、様々な媒体で取り上げられる機会も多く、町指定文化財のイカ形土製品とともにこの土偶を見に森町遺跡発掘調査事務所を訪れる方もいます。
親しみを込めて「トリサキ土偶」とも呼ばれるこの土偶は、今から50年ほど前に海岸を散策していた町民の方が拾い教育委員会に寄贈いただいたものです。手足の形やメガネをかけたような大きな目元は、縄文晩期に東北地方で作られていた遮光器土偶とも似ています。
体全体をめぐる渦巻模様や頭に付いた二つの突起が特徴的で、見学された方の感想では、「猫の耳が生えている土偶」が特に多いような気がしていますが「鬼の角が生えている」や「宇宙人のようだ」といった声もよく聞きます。「束ねた髪の毛」や「刺青なのでは」などの声もあり、同じものでも見る人によって受ける印象が全く異なる、おもしろい土偶です。
森町遺跡発掘調査事務所の展示室で常設展示していますので、ぜひ間近でご覧いただきどのような印象を受けたかお聞かせください。
▽トリサキ土偶
時期:縄文晩期(2,500年前)
発見場所:鳥崎遺跡
身長:12.3cm
肩幅:7.8cm
重さ:149.2g
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