昨年の4月より地域おこし協力隊として役場農林課に着任しました、小林和楽です。標津に来てからすでに半年以上が経ちましたが、地域の皆さまのおかげで充実した日々を過ごさせていただいております。普段は森林や自然環境に関する業務を担当しているのですが、その中の一つである「標津町ノリウツギ・プロジェクト」に関して今回はお話させていただきます。
さて、皆さまはノリウツギという木をご存じでしょうか?別名サビタとも呼ばれるこの木は町内に広く自生しており、初夏に白い花を咲かせます。実はこの木の内樹皮から取れる「ネリ」と呼ばれるネバネバした成分が、手すき和紙の重要な原料として使われています。特に、文化財補修に用いられる「宇陀紙」という和紙にはこのノリウツギが必須です。しかし、時代と共にノリウツギ採取者は減少してしまったため、昨年から本町で採取事業を行っています。この標津町産ノリウツギを使用した宇陀紙は、すでに文化財補修に活用されており、日本文化に大きく貢献することができています。
また、このノリウツギを通して宇陀紙作製地である奈良県吉野町と本町の新たな交流も生まれました。その一つとして、町内の小中学校の卒業証書を標津町産ノリウツギを使用した和紙で作製してもらうこととなりました。
今まであまり注目されていなかったノリウツギでしたが、「標津町ノリウツギ・プロジェクト」として新たな取り組みや交流がどんどん生まれています。
皆さまもぜひ本町の原野に咲き誇るノリウツギを気にされてみてはいかがでしょうか。
農林課 森づくり支援員
小林 和楽(こばやし あいら)
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