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自治体の皆さまへ

協力隊とごいっしょに No.13

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北海道歌志内市

「蔵開き」という行事をご存じですか。私は神威で暮らしていた母方の祖母からこの行事のことを聞きました。今で言えば「蔵」は家財や商品を保管する倉庫です。伝統的な「蔵」は防火・防湿・防犯のために外壁を頑丈で分厚い漆喰(しっくい)で仕上げます。たくさんの貴重品を安全に守ることができる「蔵」は裕福さのしるしでした。
大晦日(おおみそか)から閉ざした「蔵」の扉を正月の吉日に開ける行事が「蔵開き」です。多くの場合、1月11日に行われました。まず蔵の扉の前に、蔵の鍵とお神酒(みき)と供物と灯明を捧(ささ)げて礼拝します。蔵の扉を上から見て、末広がりの「八」の字になるように大きく開けて中に入ります。福の神にみたてた蔵の大黒柱に供えた鏡餅を下げますが、刃物で切るのは縁起が悪いので小槌(こづち)で割ります。「割る」という言葉も縁起が悪いので「開く」と言いました。開いた鏡餅は雑煮や汁粉にしてでいただき、餅に込められた福をみんなで分け合います。祖母は「うちに蔵もないくせに」と嫁ぎ先の神威の家の習わしを内心立腹していました。「蔵」のない不思議な「蔵開き」の行事が毎年厳粛に行われていたと聞いています。
昭和14年には「歌志内商業組合」と別に「神威商業組合」が結成されていたほど、かつての神威地区は栄えていました。曽祖父はきっと、街の豊かさを自分のことのように喜んでいたのでしょう。
昔の「蔵開き」のように、どうぞみなさまにも、たくさんの新年の福が分け与えられますように。

〔地域おこし協力隊 石井(泰)〕

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