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ふるさとの記憶〔第9号〕

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北海道江差町

東京江差会 若狭 真さん
(東京都板橋区 75歳・江差町字新栄町出身)

■海山からの恵み
私は新栄町で育ち、夏休みは愛宕町の海が兄弟の遊び場でした。浜では火を炊き、その砂の下に持参したジャガイモを入れます。よい時に掘り出し、食べるジャガイモは遊びのエネルギー源でした。
さらに、干したスケソウの身を食べ、タンパク源も摂っていました。
秋には山に食べ物がないか探しに行きます。現在は里に食べ物がないか、熊が山から探しに来ます。今なら熊に出会っていたでしょう。
食が豊かではない時代でしたが、3食はイモやカボチャを常食。タンパク源は魚類で、理想的な食習慣だったのです。このような食事を摂り、海や山でよく遊んだ子どもたちは、体力がありました。

■われらが浜の英雄
愛宕町の浜からかもめ島まで泳ぐと、浜の英雄です。中学生の1番上の兄は1人で、かもめ島まで泳ぎました。帰りは裸足、海パン姿で歩き浜に帰って来たのです。
2番目の兄も中学生の時、かもめ島まで泳ぎ切っています。この時は磯船を借りて6から7人が乗り、兄が泳ぐ横を「伴走(ばんそう)」。かもめ島の砂浜に着き、現在の前浜海水浴場を皆で楽しみました。帰りは兄も磯船に乗り、愛宕町の浜に無事帰還。小学生の私たちは、磯船の「外海(※1がいかい)往復」が大きな冒険でした。
私が今元気なのは、ふる里で得た食と体力だと思います。
育った江差の海と山には感謝、感謝です。

※1 外海
陸地から遠く離れた海

★次回(第10号)の掲載は2月号。どなたのどんなお話がきけるかお楽しみに!

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