「A(原告)が函館地方裁判所江差支部(以下「江差支部」といいます。)に対し、B(被告)に200万円を請求する旨の訴状を提出した。」という事例をもとに、訴訟手続のIT化について、お話しします。なお、A、Bいずれも弁護士が代理人として就いているものとします。
以前は、第一回口頭弁論期日(「期日」とは審理が行われる日のことです。)が指定されると、その期日までにB代理人が請求を棄却するよう求める簡易な書面(答弁書)を提出された後、A代理人が同期日に江差支部の法廷に出頭し、裁判官とA代理人が訴状や答弁書及び証拠を確認し、その期日は終わっていました。なお、次の期日以降は、B代理人も期日に出頭しますが、双方が電話会議の形で出頭することはできず、当事者の一方が必ず江差支部に赴く形で出頭しなければなりませんでした。
ところが、現在は、これと大きく異なります。
まずは、通常、第一回口頭弁論期日が職権により取り消され、A側B側いずれもがパソコンで期日にウェブ参加する形を採ります。判決が予定される場合では、一度は法廷での手続を経ることが多いですが、和解で終結する場合には、最初から最後までウェブ参加で対応することもあり得るようになりました。これは、裁判所に移動する時間をカットできるようになり、また電話による期日の進行よりも関係者の表情なども見ながら手続を進めることができるので、やりやすさを感じています。現在は、ウェブ参加の形を採れる類型が限定的ですが、今後は人事訴訟(離婚など)など他の類型でもウェブ参加が可能になる予定です。
次に、訴えの提起後は、AB双方の代理人がそれぞれ主張を明らかにする書面を提出します。現在はFAXで提出することが多いのですが、徐々に、ウェブで提出することができる仕組みが導入され始めており、令和5年11月28日から江差支部でも導入される予定になっています。
法テラス江差 弁護士 川口 智博
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