町長 照井 誉之介
新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、健やかに新春を迎えられたことと存じ、お慶び申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年は、長らく社会に影響を与え続けた新型コロナウイルス感染症も感染症法上の5類に移行され、社会活動、経済活動が取り戻されつつある1年となりました。
それにしても昨年は暑い夏でした。8月31日には34.6度を記録。ニュースでは道内最高気温の地点で何日も江差の名前が続きました。内地出身で元々暑さには強いはずなのですが、どさんことなって早15年。既に「寒冷地仕様」となった体には大変厳しいものでした。
そんな中、実に4年ぶりに行われた姥神大神宮渡御祭の13台揃った山車行列。暑さにも負けず、祭り囃子とともに町内を練り歩く子供から年配者の姿をみて感動しました。北海道指定無形民俗文化財としてしっかりと文化を伝承していかなければならないという思いをあらためて強くしました。
昨年来、物価高や燃料費の高騰で、日本経済や皆様の家計を大きく圧迫しています。起因しているのは、国際情勢の不安定化です。食糧とエネルギーの多くを海外に依存している日本はその影響を一身に受けることとなりました。
そんな時に感じるのは、都市と地方の役割です。ヒト、モノ、カネが集積して食糧もエネルギーも大量消費する都市。一方で、人口減少や少子高齢化が進む中でも、第1次産業で食糧を生産し、豊かな自然環境を生かしてエネルギーをつくり出せる地方。「経済的に都市が地方を支えている」と思われがちですが、実は地方が都市を支えている側面があるのではないでしょうか。
江差には農業漁業の生産基盤があり、「たば風」を生かして自然エネルギーの生産もできる資源豊かな地域で魅力にあふれています。こうした魅力をきちんとまちの活性化につなげていかなければならないと私自身、強く感じています。このような視点を大切にし、令和6年もまちづくりをより一層推し進めていきたいと考えています。
特に、エネルギー分野においては、江差を含む檜山沖における洋上風力発電事業が検討されています。昨年末には国や道、関係町、漁業者、専門家などで構成する法定協議会が立ち上がり、議論が本格化してきました。江差町としましては、現在、自然エネルギー推進を図るためのゾーニングを策定中であり、これに基づいて導入に向けた検討を進めていきます。
農業分野では農地の基盤整備を進め、農地集積による効率化を図ってまいります。漁業分野では、2年目となるトラウトサーモンの養殖事業に力を入れています。初年は2,000尾だった幼魚を倍の4,000尾に増やし、収益化を目指して漁業者の皆様と連携しながら取り組んでいきます。
また、高齢社会に対応したまちづくりとしては、公共交通の充実と最適化を目指して実証運行を続けている新たなデマンド交通「江差マース」を本年、本格導入していきたいと考えています。
子供たちの居場所づくりにも力を入れていきます。昨年までに各小学校に児童の要望を取り入れた遊具を設置したほか、運動公園内には、江差中生徒会からの要望を受けてフットサルとバスケットボールができるスペースを新設しました。本年オープン予定の旧江光ビル跡地の「コミュニティプラザ」では、中高生専用のシェアスペースを配置して交流促進につなげていきたいと考えています。
令和5年度に制度化した子育て世帯に対する住宅購入助成も好調で、すでに5世帯に利用していただきました。更なる定住促進につなげていきます。
私事ですが、最近、「町長、痩せたんじゃない?」と声をかけてもらうことが多くなりました。「苦労しているのでは」とご心配いただくのですが、コロナ禍を経て健康に気を付ける生活が身についてきたおかげで、心も体も健康そのものです。
「四十にして惑わず」。本年、論語にある「不惑」の歳となります。「而立」の30歳で江差町長となり丸10年。これまで、多くの町民の皆様、町内外の企業や団体の皆様、町議会、町職員のお力添えのおかげでまちづくりを進めてくることができました。本年も、江差町の活性化と町民の皆様の福祉増進のため、惑うことなく、ぶれることなく、町職員と力を合わせて全力で町政運営にあたってまいります。皆様も体調管理には十分に留意され、良き1年となりますようご祈念申し上げます。あらためまして、本年もよろしくお願いいたします。
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