10月30日、コミュニティプラザえさしで北海道立江差病院 総合診療科医長 中山龍一氏、同科医長舩越匠氏をお招きし、「地域医療講演会~万が一に備えて(人生会議、ACP)~」を開催しました。
講演会では、「人生会議:ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」について、お話しいただきました。
講演会の様子(YouTube)や、今回作成した「エエ町えさし じんせいかいぎ(江差町版ACPノート)」をHPに掲載しています。右のQRコードからご覧いただけますので、ご活用ください。
講演会を終えて、登壇していただいた中山医長と舩越医長にご寄稿いただきましたので、掲載させていただきます。
※QRコードは本紙参照
10月30日に人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)をテーマとした地域医療講演会に登壇させていただきました。私からは、北海道立江差病院 総合診療科の現在までの診療状況、そしてこれからの予測を、江差町の人口推移を踏まえてお話させていただきました。
当科は平成30年度に始まり、救急搬送件数と病気による入院患者の増加に対応を行っている診療科です。スタッフの確保については、自治医科大学卒業や北海道地域枠の活用、札幌医科大学医学部 総合診療医学講座からの派遣によって行われてきており、スタッフ数に応じた持続可能な範囲で診療を行っています。
江差町について、2015年から2050年まで、5年毎の実測と予測人口を提示しました。人口は右肩下がりに減少していますが、65歳以上、そして75歳以上の人口はしばらく横ばいで経過すると予想され、医療と介護の需要も維持または増加が予想されます。
そのような背景の中で、人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)を適切に紹介することが、診療報酬改定や厚生労働省からのガイドライン(人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン)によって、我々医療者には求められています。医療には、提供する側と受け取る側に情報の差があり、今回の講演会はその差を小さくすることを目的としています。
住民の皆様やご家族が、望んでいる医療、ケアを提供するだけではなく、受けたくない医療、ケアを回避できるように、自らの意思表示ができる内に、信頼できる人に相談をしていただければ幸いです。
北海道立江差病院総合診療科 札幌医科大学医学部救急医学講座 中山 龍一
10月30日に地域医療講演会を行い、誠に僭越ながら講演をさせていただきました。照井町長、江差町役場や会場の皆様などに支えられ会を終えることが出来ました。この場をお借りして感謝申し上げます。
講演のテーマは人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)でした。お聞きになったことが少ない方のほうが多いかもしれません。将来必要になる医療やケアについて、家族などと相談し自ら意思決定するプロセスのことです。医療者として働いているとACPの重要性を痛感するのですが、そうでない方からすると全く実感のないものに感じられると思います。
また、ACPについての誤解も多く、「尊厳死やリビングウィルを決めなければならない」、「死について考えることを強要される」などのイメージもあるかもしれません。そのため、今回の講演会ではACPは堅苦しいものではなく気軽に行うことができるものであること、そしてなにより「理想の人生を追求すること」が主な目的であることを強調しました。大切な人といつまでも一緒に暮らす人生、大好きな食べ物を一生食べていく人生、お酒をいいだけ飲む人生(医者としては注意することもあります)など自分の理想とする人生観を表明することがACPの第一歩と考えます。
今回我々は役場の方と協力し「エエ町えさし じんせいかいぎ」というノートを作成しました。他の自治体のノートには財産や家族構成など非常に細かい項目があるのですが、江差町ではあえて重要な項目のみに絞ってみました。可能な範囲でいいので、大切な家族や友人とともにACPについて考えていただければと思います。地域の皆様の理想とする人生を表明する手段として、お役に立てることを願っております。
北海道立江差病院総合診療科 札幌医科大学脳神経内科 舩越 匠
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