法テラス江差通信～物の見方・考え方～(第176号)

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令和6年2月号で法律相談の一般的なことを書きましたので、今回は、少し具体的に、私がどのような視点で法律相談に臨んでいるかという点を書きます。
法律相談では、相談者の方が悩みごとをお話していただくことから始まります。もっとも、法律相談の予約を受け付けるときに、事務職員が相談の概要を聴取していますので、私は、法律相談のときには、相談者の方がどのようなお話をされるのかをある程度想定することはできています。それでも、相談者の方が私に対し、直接お話しいただいた方が正しく伝わりますので、相談者の方にお話しいただきます。
相談者の方がお話するときは、多くの場合、時系列に従って、ストーリー形式でお話していただくことが多いところです。このお話をお伺いしているとき、私が一番関心を持っている点は、「何がしたいのか。」という生の声(法律相談に来られた目的)です。たとえば、「Aさんにお金を払ってもらいたい。」という生の声があれば、私が二番目に関心を持つ点は、Aさん対する請求に法律上の根拠があるかどうか、これがあるとすれば、その請求が成り立つために必要な証拠があるかどうかという点です。たとえば、お話をお伺いした結果、Aさんにお金を払ってもらいたい理由が貸金の返還を求めるものであることが分かれば、消費貸借契約に基づく貸金返還請求権(民法587条以下)という法律上の根拠があり得ることが分かり、この請求権が成立するための証拠があるかという検討に移ります。
私が二番目に関心を持つ点は、弁護士の領域のものですが、私が一番関心を持っている「何がしたいのか。」という生の声(法律相談に来られた目的)は、相談者の方の領域のものです。是非、この生の声を明らかにしていただけると、効果的な法律相談になると思います。
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