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鰊御殿とまり ごてん 令和5年6月号

14/22

北海道泊村

■網元からの寄贈品
鰊御殿とまり館長 増川佳子

暖かい日が続き、鰊御殿の桜はあっという間に葉桜になってしまいましたが、もうそろそろ裏庭のスズランが見頃になります。館内にも春の陽ざしが入り、のんびりと見学していただけるようになりました。「チュンチュン、チッチッチ。」鰊御殿の軒下に住むスズメたちも賑やかにさえずり、のどかさを演出しています。
スズメといえば、武井邸客殿の廊下の床にも数羽飛んでいます。ちっちゃいので目を凝らさないと見失ってしまいますが…。お客様には、入館前に「客殿廊下の埋木細工をぜひご覧になってくださいね。」とお伝えしているのですが、事務所から見ていると気付かずに素通りされる方がけっこうおります。“客殿の一番の見所なのにもったいないなあ”と思い、5月の連休後半から客殿入り口で待ち伏せしています。入口すぐに“木の生えた島”が、廊下の末端には“渡し舟と船頭”が埋められています。「こんな風に3つの廊下全体に埋木されていますので、ゆっくり探してみてくださいね。」と促しますと「気付きませんでした。」「宝探しみたいですね。」と楽しんでくださいます。「ここにもあるね。」「これは何の形だろう。」「私はくじらに見える。」「うさぎじゃない?」などとお仲間と会話しながらご覧になる方もいらっしゃいます。ちょっぴり見学に飽きたお子さんにも好評でした。「ケヤキは磨けば磨くほど光るんだよ。」とあるお客様が教えてくださいました。それからは、お客様を待ち伏せしながら床磨きをしています。
先日来館された方が川村家番屋資料室にある大皿を見て「鑑定団に出してみたらいいのに。」と話されました。価値を知りたいと思う反面、価値を知らない方が安心できるのかもとも思います。
“鰊御殿とまり”に展示されている全ての寄贈品は、高価な物もそうでない物も、当時の泊村の生活を今に伝えてくれるかけがえのない大切なものです。
昨年11月に渋井の櫻井様から寄贈いただいた“漆器類”もその一つです。連休前に木箱から出してみました。赤漆のお膳と食器、黒漆のお膳とお椀、削り絵のついた赤漆のお膳とお椀の蓋がたくさん入っていました。漆塗りのお櫃にしゃもじに重箱もありました。丁寧に保管されていたようで、乾いた布で磨くとピカピカになりました。とてもきれいなので一部を客殿の祝宴の間に並べています。削り絵のついたお膳は全て絵柄が違うこともわかり驚きました。美しい日本の風景が描かれています。7月~9月の間、客殿に並べられるだけ並べて(全部で30膳もあるので)展示することにしましたので、夏の“鰊御殿とまり”にもぜひお越しください。

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