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鰊御殿とまり ごてん 令和5年7月号

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北海道泊村

■鰊場の祭り
鰊御殿とまり館長 増川佳子

『鰊御殿とまり』のエゾスカシユリが今年も満開です。青空を見上げて笑っているように咲く朱色の花が泊村に夏を連れてきたようです。今春生まれの雀の子が巣から降りてきて、親鳥から餌をもらっているかわいらしい姿も見られる季節になりました。
『鰊御殿とまり』では今年の開館に合わせて、鰊番屋の来客者を感知すると“沖揚音頭”が流れる装置を復活させました。カモメの声や波の音を背に力強い漁師の歌声が流れます。後半の掛け合いのところで「あれ、お祭りの御神輿と似てる!!」と聴き入り、勇壮な神輿渡御を思い起こしました。
神社に詳しい方に伺ったところ、この掛け声が主体の唄は“ハオイ”と言うそうです。ニシン場の用語集(北海道立函館水産試験場 北浜仁著 北水試月報 1987)によると

『ハオイ』
船漕ぎ唄で、海岸から沖合に設けられている建場まで、朝夕の往復時に漕ぎながらうたう。
かけ声が主体で、一人がハオイで音頭をとり、他の漁夫がこれにあわせて下声をとる。同じ船漕ぎ唄であっても、陸から沖の建場まで漕いでいく短距離の場合と、遠くの方へ荷回し、船回し、あるいは追ニシンなどで長時間も漕ぐ場合で唄の用い方が違ってくる。

と書かれていました。御神輿を担ぐ男衆の「オーオシコー」という低音の力強い響きが漁夫達の連帯感と高揚感を想像させます。鰊漁で栄えた地域特有の文化といえるでしょう。
さて、コロナ禍明けとなった今年の各地区の神社祭はどんな様子になるのでしょう。道路の旗と吹き流し、玄関に飾られたお花、太鼓の響き、笛の音、神輿を担ぐ声、大漁旗に彩られた船列、行列のざわめき、鳥居の前の焚き火…。何もかもが久し振りで、海の神様も顔をほころばせてくださるように思います。
『鰊御殿とまり』は、お祭りの日も休まず営業しています。お祭りに合わせて帰郷されましたら、『鰊御殿とまり』にぜひお立ち寄りいただき、幼い頃の泊を懐かしんでほしいです。

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