■新展示物仲間入り
鰊御殿とまり館長 増川 佳子
真っ青な空、力強い陽差しを受けてキラキラ輝く海…。積丹半島のウニ漁が始まったとたん泊村も一気に夏になりました。ウニの季節は『鰊御殿とまり』もぐんと来客数が増えます。今年は、道外からのお客様が多いように感じます。夏の北海道を満喫する旅に一役買えていたら嬉しい限りです。
さて、この6月に、かつて鰊漁に携わっておられた2軒のお宅からたくさんの寄贈品をいただきました。その中の一部を、施設内の展示に調和するように配置してみました。新たに加わった物たちで見どころが増え、賑やかになりました。全て紹介したいのですが、紙面上無理ですので、私のお気に入りをご紹介します。
糸泊の井口様からいただいた“千鳥絵柄のお膳と椀”。はじめて家にある物を見せてもらいに行ったときに、「すずめのついたお椀、かわいいでしょう。」「すずめ、かわいいです。いただきます。」などと話していましたので、“すずめ”だと思いこんでいたのですが、別の方に「千鳥ですよ。」と教えていただきました。このお膳は、地色が茶で少し大きめのもので、“千鳥”の群れが波の上を飛んでいる姿が描かれています。“荒波をともに乗り越える”という意味があり、【勝負祈願】や【家内安全】に良い絵柄だそうです。川村家番屋の台所の手前に重ねて置きました。一組お椀や皿を配置して酒宴の準備のようにしてみました。
渋井の斉藤(岩崎)様からいただいたのが“花咲か爺さんの絵が入った額”。昔話『花咲か爺さん』は、可愛がっていた犬のぽちのおかげで、優しくて正直なじいさんがお金持ちになるお話です。そのクライマックス、殿様の行列の前で花咲か爺さんが「枯れ木に花を咲かせましょう。」と灰をまき、見事桜の花を咲かせた様子が描かれています。この絵が入った額は、川村家番屋の2階客間のタンスの上に飾りました。隣のガラスケースには、舌切雀などの変わり雛もあります。古い絵本があれば、一緒に展示しようかと思います。
岩崎様からは、茶津の海の写真パネルもいただきました。昭和45年に撮影されたモノクロ写真で、夕日に浮かび上がる岩が郷愁を誘います。「どこに展示しようかな」と迷っていた時、1952年に制作された“臼別海景”と名付けられた絵があることを思い出し、並べて展示することにしました。番屋漁夫だまりにあります。
両家からいただいた掛け軸も月替わりで展示します。「あれ、前と違うかな」という楽しみを味わいに来てください
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