浜中町長 齊藤 清隆
令和6年第1回浜中町議会定例会の開会にあたり、町政を代表し、町政執行に対する所信と町政運営の基本的な考えを申し上げ、町民の皆さま並びに町議会議員の皆さまにご理解とご協力をいただきたいと存じます。
■町政の基本方針
新型コロナウイルス感染症の影響が次第に影を潜め、社会経済活動と景気が回復基調を見せる中、不安定な国際情勢などを起因とする物価高騰の影響が長期化しており、私達の日常生活に大きな影響を及ぼしております。そのような中、地方は少子高齢化の進展や都市部への人口流出などによる本格的な人口減少社会を迎えており、地域の社会経済を支える人材不足がより一層懸念されるところであります。
本町は農業・漁業という2つの基幹産業を有し、人々の生活を支える食糧供給基地として、この基幹産業を守り抜いていくことがまちづくりを進めていく上での全ての基本であります。
さらに、霧多布湿原をはじめとした世界に誇れる豊かな自然環境を守るとともに、町民の皆さまの生命と財産を守り抜く防災・減災対策を進め、何よりも次代を担う世代の方々が夢と希望を抱き続けていただけるような魅力ある施策を展開することが本町の明るい未来の創造につながると考えております。
本町の令和6年度一般会計予算は、新たな産業振興事業、津波避難施設整備等の防災対策事業、子育て環境等の福祉充実に向けた事業、さらには公共施設の改修事業などの費用を盛り込み、前年度と比較し2,472万3千円減の92億3,884万8千円となったところであります。
非常に厳しい財政状況の中、選択と集中を基本とした事業展開を図り、町民の皆さまとともに一丸となってまちづくりを進めてまいります。以下、「第6期浜中町まちづくり総合計画」の体系に沿って、本年度の施策の内容をご説明申し上げます。
◇産業の垣根を越えて、みんなで築きあげる活力あるまちづくり
[1]農業の振興について
我が国の農業を取り巻く状況は、大規模な自然災害や地球温暖化、農家戸数の減少による生産基盤の脆弱化、地域コミュニティの希薄化など、様々な課題を抱えております。こうした中、政府は「食料・農業・農村基本計画」に基づき、持続的な食料システムの構築に向けた「みどりの食料システム戦略」を展開しているところであります。
国内における農産物の需要回復が求められる中、国際情勢や円安による配合飼料や肥料などの生産資材やエネルギー価格の急激な高騰など、酪農家にとってこれまで経験したことがない大変厳しい経営状況が続いております。
本町の農業は、酪農を基幹として草地基盤に立脚した循環型農業を進めております。国際情勢等に左右されにくい自給飼料生産に努め、様々な経営形態を維持しながら、持続可能な農村地域づくりを目指してまいります。
(1)農業基盤の整備について
自給飼料生産、草地基盤の機能充実を目指す草地整備事業を進めてまいります。農道については、すでに着手している道営浜中姉別地区一般農道整備事業を進めるとともに、新たな整備路線の追加を北海道へ要望してまいります。
また、農業者に対する家畜購入資金貸付や各種制度資金に対する利子補給を継続してまいります。
(2)持続可能な農業の推進について
地域社会や自然環境に十分配慮した循環型農業の実現を目指し、環境保全機能の向上を図ってまいります。
(3)日本型直接支払制度の取り組みについて
中山間地域等直接支払交付金および多面的機能支払交付金を活用し、地域や農業者の取り組みを支援してまいります。
(4)農業の担い手の育成・確保について
後継者対策については、農業後継者就業交付金の活用を促すとともに、浜中町農業後継者対策推進協議会の運営に支援し、担い手の確保と本町への定住促進を図ってまいります。
(5)新規就農者等の育成・確保について
浜中町就農者研修牧場の運営に対する負担のほか、農業経営技術研修受入者に支援してまいります。また、新規就農者の地域定着を促進するため、就農後の農場リース料等の助成、新規就農者育成総合対策事業に基づき支援してまいります。
新・農業人フェアをはじめとする各種就農相談会へ関係団体と連携しながら積極的に参加するとともに、農業系大学や専門学校などへの訪問を行い、新たな担い手の確保に力を注いでまいります。
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