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男女共同参画コラム

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北海道浦幌町

■連載147
仕事について考える
稚内大谷高等学校
校長 平岡祥孝

いよいよ北海道の短い夏が訪れました。思い切り爽やかな夏を楽しみたいものです。
さて、今年4月に入社・入職した新人さんも、職場での数か月は如何でしょうか。多少慣れたかもしれませんが、まだまだ戸惑ったり、試行錯誤の連続であったりではないでしょうか。メンバーシップ型の雇用では、言うまでもなく上司は選ぶことは出来ません。ある意味、抽選かくじ引きのようなもの。巡り会わせや運・不運があって、当たり前です。
上司との人間関係は、部下にとっては悩みの種です。ましてや新人さんにとっては1つの試練とも言えましょう。ここで、人事総合コンサルタント会社である株式会社ベクトルの調査『上司に関するアンケート調査』(会社員計500人、2023年1月調査)を紹介しましょう。
まず、「上司が理由で会社を辞めたいと思ったことがある」との回答は、何と79パーセントでした。ほぼ8割近い方が上司に不満を持っており、離職を考えている深刻な問題です。さらに「今の上司が好きですか」との質問では、「好き」の16パーセントに対して、「嫌い」は40パーセントでした。この「嫌い」の割合は、「どちらとも言えない」44パーセントと大差がありません。この「どちらとも言えない」は、上司を好意的に見ていないと、私は推察します。
「嫌いな上司の特徴」(複数回答)としては、「高圧的」332人で首位、次位は「自分だけが正しいと思っている」317人でした。そして、「相手によって態度を変える」272人、「気分屋」268人、「人の意見を聞かない」266人が続きました。このような上司と信頼関係を構築することは、おそらく不可能でしょう。それでは、どうすればよいのでしょうか。
精神的に不調に陥らないように、心の健康には注意を最大限払わなければなりません。「賢い部下は馬鹿な上司はやり過ごす」事例を、私は数多く見てきました。異動がある職場なら、嵐が過ぎ去るまで我慢することも窮余の策か。ハラスメント、とりわけパワーハラスメントやセクシャルハラスメントには厳しい眼が注がれる昨今ゆえ、籠城もありや。
自らを守るためにも、問題上司とは単独で対峙しないことです。なぜならば、「言った」「言わない」の状況になった場合、私の拙い経験では明らかに、部下は弱い立場になります。複数で対峙することです。言い換えれば、マンツーマン・ディフェンスではなく、ゾーン・ディフェンスで守りを固めることが肝要かと。さほど異動が無い職場では、垂直型ネットワークよりも、水平型ネットワークを意識的に創り上げた方が得策でしょう。
ここで翻って、長い職業人生を歩む限りにおいては、ロールモデルとなりえる理想の上司に巡り会うことも必ずあります。新人時代に出会いがあれば、最高。語弊がありますが、それは宝くじが当たったようなものです。私の恥多き職業人生を振り返ってみても、人生思い通りには行かないものですが、真摯に仕事に向き合い、誠実に取り組んでいくことを続けていくならば、幸運な機会や巡り会いに恵まれます。ただし、それを必ず掴むこと。
あくまでも私見ながら、退職する意思が固いのならば、次の転職先を確保してから退職することが賢明だと思います。それゆえ、事前に退職を申し出て、引継ぎなども万全にして去ることが、職業人としての常識です。惜しまれて辞めることは、価値ある退職では。

▽ひらおか・よしゆき
元札幌大谷大学社会学部教授。英国の酪農経営ならびに牛乳・乳製品の流通や消費を研究分野としている。高校生・大学生の就職支援やインターンシップ事業に携わってきた経験から、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランス、仕事論、生涯教育などのテーマを中心に、講演やメディアでも活躍。

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