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町長コラム No.16

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北海道浦幌町

■浦幌町長 井上亨

先日、浦幌図書館に立ち寄ると、今年1月に直木賞を受賞された別海町出身の河﨑秋子さん著書『ともぐい』が新刊コーナーにあるのを見つけました。
道内出身作家であり注目作でしたからこれはラッキーと迷うことなく借りて読んでみたのです。
詳細はネタバレになってしまうので割愛しますが、ざっくり言うと明治初期の白糠を舞台に、山で一匹の犬とともに猟師として暮らす主人公の生き様を書いた物語であります。
読み進めると、主人公が人生をかけたライバルとしてひ熊が登場します。両者が対峙する描写はリアリティがあり圧巻。何よりもそこでは熊が圧倒的な「恐れ」の象徴になっているのです。
ここ数年、全国各地で熊が市街をうろついていたり、物置で寝ていたりと目撃情報が後を絶ちません。
最初のころは「恐いなぁ」と思っていたのに、こう連日聞かされると慣れてしまい、今ではそれが当たり前になっているようにも感じます。
もしかしたらキャラクターのイメージが先行し、可愛いから見てみたいという好奇心が出たとしたら要注意です。
私がかつて上浦幌支所に勤務していたころ、駆除用の箱わなに入った熊を初めて見たとき、地鳴りのような低い声で近寄るなといわんばかりに咆哮する姿に恐怖を感じました。映画やアニメで見るのとは全く違う猛獣であり、もし出合い頭に遭遇したらと考えるだけでゾッとします。
主人公は幼少期から山で暮らし、銃や弓、ワナを使いこなす狩りの名手。しかし、ひ熊を探すとき、それらの技や経験に加えて五感のすべてを研ぎ澄ましどんな気配も見逃しません。それは相手が山に住む最強の生き物であることを知っているからです。
秋の訪れとともに、紅葉狩りやキノコ採りなど山に入る機会が増える時期となります。万が一に備え、熊除けスプレーの持参など十分な対策を忘れずにお願いいたします。

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