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男女共同参画コラム

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北海道浦幌町

■連載156
仕事について考える
稚内大谷高等学校校長 平岡祥孝

ようやく北海道は待ちに待った早春の季節となりました。本州では桜の季節が始まり、春を楽しむ時節です。桜前線の北上が本当に待ち遠しい限りです。さて年度が変わると、いよいよ新社会人にとっては、期待と不安が入り混じった仕事生活が始まります。では、新社会人が理想とする職場や上司像とは如何なるものでしょうか。
まず、前回お話したZ世代が働きたい職場に関するアンケート調査結果の一例を紹介したいと思います。(株)リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2023」(2023年6月)によれば(複数回答)、首位は「お互いに助け合う」66・4パーセント、次位は「お互いに個性を尊重する」50・7パーセントです。「お互いに鍛え合う」はわずか11・4パーセントでした。まさに「個」の時代を象徴するかのような数値ですね。もはや競争や切磋琢磨は死語でしょうか。
次に、明治安田生命保険相互会社が今春社会人となる学生(以下、新入社員と記す)を対象にした、新入社員が考える理想の上司像に関する調査結果(1100人回答)を紹介しましょう。最も理想とする男性上司のイメージでは、「親しみやすい」19・2パーセント、「知性的・スマート」13・5パーセント、「頼もしい」13・4パーセントが上位3位を占めました。また、最も理想とする女性上司のイメージでは、「親しみやすい」17・9パーセント、「頼もしい」16・2パーセント、「優しい」12・3パーセントが上位3位までとなりました。性別を問わず上司に対しては、親近感を感じたり、親身になってくれたりするような関係性を、新入社員は求めているのでしょうね。強いリーダーシップを発揮して、叱咤激励しながら部下を引っ張っていくような豪腕タイプの上司は苦手かも。
採用難の昨今、縁あって採用した新人さんの離職を防止すること、言い換えれば定着率を高めることが極めて重要な経営課題であると言っても過言ではありません。管理職の責任は重いですね。たとえば、管理職の立場で苦労していること(複数回答)では、「部下の指導や育成」が49・3パーセント、「部下とのコミュニケーション」36・7パーセントでした((株)識学「管理職に関する調査」(2023年2月))。育成力やコミュニケーション力は、管理職必須の能力。
上司は新人さんに迎合する必要は全くないものの、丁寧な対応は必要不可欠だと、私は考えます。とりわけ上司の新人さんに対する接し方では、発する言葉に注意しなければなりません。もちろんパワーハラスメントやセクシャルハラスメントに受け止められる発言は論外。「この仕事向いていないんじゃない?」「言っている意味分かる?日本語だよ」「やる気あるの?」「これ、常識でしょう」「こんなこともわからないの?」「もういいから」等々は、一般的に耐性が弱いと言われている新人さんや若手には禁句でしょうね。
あくまでも私見ながら、新人さんの仕事動機としては、報酬のような外発的動機もさることながら、成長実感や貢献意欲のような内発的動機を大切にしているように思えます。それゆえ、自ら上司を選べない新人さんのワークモチベーションを如何に引き出していくかは、最初の配属先の管理職の力量・手腕次第です。多忙であったとしても、何とか時間を創り出して、直接対面型の寄り添った対話の頻度を上げることが求められるでしょう。それは公私のけじめを守りつつ、親しみと優しさを感じさせる上司となる第一歩かと。

▽ひらおか・よしゆき
元札幌大谷大学社会学部教授。英国の酪農経営ならびに牛乳・乳製品の流通や消費を研究分野としている。高校生・大学生の就職支援やインターンシップ事業に携わってきた経験から、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランス、仕事論、生涯教育などのテーマを中心に、講演やメディアでも活躍。

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