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自治体の皆さまへ

男女共同参画コラム

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北海道浦幌町

■連載158
仕事について考える
稚内大谷高等学校校長 平岡祥孝

晩春から初夏へと移り変わり、本格的な花の季節を迎えました。札幌はライラックからアカシアへと花の主役も交代している時節となりました。
さて、広報誌『うらほろ』は、私も楽しく拝読させていただいております。2024年5月号(No.865)では、入園・入学・卒園・卒業の写真と記事は、教員人生一筋の私にとって心を打たれるものであります。また今回は、「新規採用職員紹介」と「町長コラムNo.11」に興味・関心を持った次第です。ほとんどの市町村は職員採用に悩んでいます。
もちろん稚内市も同様です。採用は言うに及ばず定着に向けた苦労は民間企業とは大差ないと言っても過言ではありませんね。離職を如何に抑えるかが、企業や団体の重要な経営課題の一つになってきていることは紛れの無い事実です。
ようやく確保した新人さんを教育・支援して、有為な人材として活躍してもらうためには、先輩諸氏に加えて、直属の上司となる中間管理職の力量・手腕が問われるところであります。まずは、新人さんが一緒に働きたいと思う、好きな先輩・上司の特徴を見てみましょう。あくまでも一つの事例ですが、男女それぞれ500人からの回答(複数回答)を紹介します。男性新人の場合には、「教え方がうまい」41・8パーセント、「信頼してくれる」39・8パーセント、「思いやりがある」36・2パーセントが上位3位までを占めました。女性の場合には、「教え方がうまい」56・4パーセント、「思いやりがある」56・0パーセント、「仕事ができる」56・0パーセントが上位3位までに挙がりました(ソニー生命保険(株)「社会人1年目と2年目の意識調査2023」(2023年4月))。
男女とも「教え方がうまい」が首位、「思いやりがある」が次位となっています。要するに、新人さんに対して思いやりを形で示しながら、仕事に向かう姿勢や仕事の進め方について、一つ一つ分かりやすく丁寧に教えることが極めて重要であると、先輩・上司は認識する必要があるということでしょうか。もちろん新人研修はどこの職場でも実施されていると思います。しかしながら、画一的な全体研修だけでは効果は限定的であり、その後のOJTが放任型であるならば、ほぼ意味は無いでしょうね。新人さんへの教え方は、彼ら彼女らの素質や気質あるいは理解度や能力によって異なると、私は考えます。
そこで、私が大学教員時代に卒業研究指導で活用した「SL理論」が役に立つのではないでしょうか。ハーシー(P.Hersey)とブランチャード(K.H.Blanchard)が提唱した「SL理論」は、一人ひとりの習熟度に応じて、対話頻度(コミュニケーション量)と業務指示方法を変えていく理論です。具体的には習熟度を4段階に分けて下位段階から順に、(1)説明型(具体的に指示を出す)、(2)説得型(説明した上で疑問・質問に答える)、(3)参加型(問題解決などを支援する)、(4)委託型(業務遂行について任せる)となっています。おそらく新人さんには、説明型の教育・指導が出発点でしょう。また、社会人経験者の中途採用に対しては、説明型に加えて説得型が必要になることもあるでしょう。
いずれにしても人材育成に際しては、先輩諸氏や上司は新人さんを十分に観察して各々の現状を把握した上で、最適の教育・支援を選択することが求められます。

▽ひらおか・よしゆき
元札幌大谷大学社会学部教授。英国の酪農経営ならびに牛乳・乳製品の流通や消費を研究分野としている。高校生・大学生の就職支援やインターンシップ事業に携わってきた経験から、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランス、仕事論、生涯教育などのテーマを中心に、講演やメディアでも活躍。

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