■ハイカラな街並みが浦臼にありました
浦臼町内には今も洋風の建物がいくつかありますが、実は以前の方がたくさん建っていました。いわゆる「ハイカラ建築」で、道内では函館や小樽などの港町で多く見られます。既に除却されてしまったものがほとんどですが、以下に紹介します。
※写真(本紙参照)はすべて浦臼町郷土史料館所蔵
◇浦臼村の発展を支えた役場庁舎
現在の役場庁舎の1代前の庁舎で、写真(1)(本紙参照)は昭和10年頃の浦臼村役場です。
平屋の木造で、本庁舎に渡り廊下を介して付属棟が繋がっています。洋風下見板張りに上げ下げ窓の外観や、三角屋根の頂部を斜めにした「ドイツ破風」が印象的です。写真では外壁の色が分かりませんが、筆者の記憶では白色だったように思います。北海道大学旧農学部の歴史的建築物と似た様式といえるでしょう。
◇「舘」として愛されている郵便局
舘のページでも紹介しましたが、昭和10年頃に建てられた木造2階建てです。当時は郵便と電話交換の業務が行われていました。
写真(3)(本紙参照)のように、外壁は幅広の素地の和風の下見板張りです。一方、大きな2連の上げ下げ窓と腰折れの寄棟屋根は洋風のデザインです。
増毛街道(現国道275号)の西側に、札幌側から郵便局→消防署→役場庁舎→旧宮本新聞店が近い距離で並んだ木造洋風のハイカラ建築通りが想像できます。
◇役場とお揃いのデザインの消防署庁舎
写真(2)(本紙参照)は大正15年に建てられた木造2階建ての消防署庁舎です。洋風下見板張りやドイツ破風が役場庁舎と共通なのは、近接して建っていたのでデザインを揃えたのかもしれません。
正面頂部の台形形の白い塗壁は漆喰塗りと思われますが、これは並びに建つ旧宮本新聞店と同じ様式です。2階の窓は引き違いです。
◇瀟洒(しょうしゃ)な岩村農場の邸宅
岩村農場は浦臼に入植・開墾した農場の中で最も大きな農場でした。岩村八作が明治26年に入植した後、明治30年代に写真(4)(本紙参照)の邸宅を建てています。1階は和風の下見板張り、2階は漆喰塗壁に上げ下げ窓が並んだ洋風のデザインです。寄棟屋根の頂部には立派な「立物」が付いています。
浦臼で友成邸が和風住宅のお屋敷の代表格とするならば、岩村邸は洋風邸宅の代表格と言えるでしょう
札幌市立大学の西川忠です。ここで紹介した役場、消防署、郵便局は私もおぼろげに記憶にあります。当時はまったく意識しませんでしたが、こうやって過去の資料写真を見ると、浦臼にもカッコいい建物があったんだなぁと思う次第です。
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