【今月のテーマ…「転ばぬ先の杖」で元気に生活】
筆者…地域包括支援センター 仙北谷 明美
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
本年も皆様がお元気で過ごされることを心よりご祈念申し上げます。
地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口として、ご本人、ご家族からいろいろな相談を伺います。昨年を振り返ると、転倒による骨折で入院となり、介護認定申請の手続きや退院後の生活について、ご本人やご家族と相談していく機会が多くありました。
転倒の原因はさまざまですが、転倒により大腿骨頸部骨折又は大腿骨転子部骨折、いわゆる足の付け根の骨を骨折している方が多く、手術をして、その後リハビリを実施し、退院するまでにおおむね2~3か月の入院が必要になります。入院により身体機能が低下してしまうと、安定して歩くことができなくなり、退院後、在宅で何らかの介護やサービス利用が必要な状態となり、在宅での生活が難しくなり、施設入所を選ばれる方もいて、転倒による骨折は在宅生活を困難にしてしまう原因になります。
「令和4年国民生活基礎調査(厚生労働省)」によれば、高齢者の介護が必要となった主な原因は、認知症、脳血管疾患に続き、「骨折・転倒」が13.9%を占め、高い割合を示しています。
▽転倒の要因として
内的リスク:身体機能や認知機能などのご自身が抱える要因のこと
外的リスク:住居や道路などのご自身を取り巻く環境要因のこと
この2つの要因が合わさることで、転倒を引き起こしやすくなります。
▽『転ばぬ先の杖』とは
「前もって用心していれば、失敗することがないというたとえ」です。
言葉の由来は、転んでから杖を用意しても何の意味もない、転ぶ前にあらかじめ杖を持っておくべきだということろからきているようです。
すなわち、転倒予防には、転ばないような対策を早めにしておくことが大切です。
・杖や手すりは、「どうしても支えが必要な状態」になってから使用するのではなく、「支えがあったほうが安心くらいの状態」から使用するようにしましょう。杖を使用することは「年をとった」「体が弱くなった」と言うことではありません。
・杖、歩行補助具にもいくつかの種類があります。これなら安心して外出できると思える補助具を選択するのがポイントです。
・階段昇降や椅子からの立ち上がりに不安を抱えている方が多くいます。階段の手すりやひじ掛けがある安定した椅子を使用しましょう。●転倒しにくい体づくりのため、日頃から、室内でできる体操やストレッチ等で体を動かし、バランス力を保ちましょう。
・ご自分のサイズに合った適切な靴を選ぶようにしましょう。冬季は路面が滑りやすく、歩行が不安定になります。滑らない工夫のある靴を選び、また、天候や路面状況に応じて外出をしましょう。
(出典:小学館デジタル大辞泉)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>