【今月のテーマ…睡眠】
筆者…留寿都診療所医師 糸矢宏志
睡眠は、疲労の回復だけでなく、脳の中では記憶が整理されて必要な記憶を残す作業が行われるなどの働きがあるようです。成人では一晩に6~9時間が適切な睡眠時間とされています。3~5歳児は10~13時間、小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間が推奨されています。
◇睡眠不足のリスク
睡眠不足はどんな弊害があるのでしょう?一晩徹夜すると飲酒して初期の酩酊状態(血中アルコール濃度0.1%程度)とほぼ同じ状態になるそうです。「睡眠4時間を5~6日続ける」又は「睡眠6時間を10日間続ける」と徹夜明けと同じくらいパフォーマンスが低下すると言われています。感情のコントロールができず怒りやすくなり、人間関係が悪化しやすくなります。また、成人で6時間以下の睡眠不足はメタボリック症候群、糖尿病、心血管疾患、肥満、認知症やがん、うつ病などの発生リスクを高めます。
◇不眠症
不眠を訴える人は多いですが、「眠れない」という人の60%は十分眠れていることが脳波を記録した研究で報告されています。不眠症の人のうち、他に原因のない不眠症は30%程度です。
残りの70%程度は原因となる病気が隠れているようです。「うつ」や「不安障害」といった精神疾患、睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。こういう方は睡眠薬を飲むよりもまずは原因となる病気を治療することが先決です。
◇アルコールは睡眠の質を悪くする
日本では寝酒を飲む人が多いですが、飲酒後の睡眠は浅く、途切れ途切れになり眠りの質が悪くなることが分かっています。晩酌なら寝床に入る4時間前までに飲み終えれば問題ないと言われています。また、ニコチンも睡眠に悪影響があり、不眠の人は先ずは禁煙が必要です。
◇長時間睡眠(長時間寝ずにいられない方)
逆に、毎晩9~10時間以上眠っている人は「睡眠時無呼吸症候群」や隠れた病気のために長時間の睡眠を必要としている人かもしれません。9~10時間以上の長時間睡眠も糖尿病、心血管疾患、脳卒中、肥満などのリスクになります。特に60代以上の高齢世代で1日8時間以上横になっている人は注意が必要です。昼寝は、認知症の早期兆候とも言われています。
参考図書:日本医師会雑誌 第153巻第5号 2024.8
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